北海道地方ESD活動支援センター

【開催報告】ESD担い手ミーティング「SDGsの本質ってなんだっけ?SDGsそもそも論 ~タグ付けだけじゃもったいないよ~」

 北海道地方ESD活動支援センターでは、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」と共催でSDGsをテーマにしたミーティングについて報告します。
「SDGs」という言葉をいろいろなところで目や耳にすることが増えてきましたが、「SD(持続可能な開発)」、「誰ひとり取り残さない」という考え方が抜けてしまっているのではという危機感がありました。そこで、ESD担い手ミーティングでは、3名の方からそもそもSDとは何か、持続可能な社会をつくる人は誰か、持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みについてお話を伺い、参加者同士で意見交流をしました。 

 

※続編、ESD担い手ミーティング2「北海道版メジャーグループを考えよう!」が2020年2月6日(木)に開催されました!こちらも合わせてご覧ください(準備中)

 

開催概要

[日 時]令和元年9月8日(日)13:30~16:30
[会 場]北海道教育大学札幌駅前サテライト教室1(札幌市)
[参加人数]29人
[内 容]
 情報提供
 ・SDGsの「SD」ってどのようなこと?
  一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ 代表理事 牧原 ゆりえさん
 ・持続可能な社会をつくるのは誰だ:メジャーグループの考え方
  韓国環境政策・評価研究院(KEI) 社会環境研究室 委嘱研究員
  慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程 カン ソンウさん
 ・「誰ひとり取り残さない」を実現するには?
  障害者インターナショナル(DPI)北海道ブロック会議 理事 西村 正樹さん

 意見交流 テーマ:「誰ひとり取り残さない社会のためのアクション」

SDGsの「SD」ってどのようなこと?
一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ 代表理事 牧原 ゆりえさん

 私たちがサステナビリティの根本的な理解でつながって、サステナビリティのお話や「あったらいいな」「これはやめよう」をもっともっと話せるように、聴けるようになれるといいなと思う。
SDGsのSD(持続可能な開発)の定義は「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」(1987年ブルントラント報告書)といわれている。今日はこの定義をわかっている人とわからない人をつなぐ枠組「ていねいな発展(Human Scale Development)」と「ナチュラル・ステップ(The framework for strategic sustainable development)」を紹介したい。

・ていねいな発展(Human Scale Development)
 提唱者は、チリの経済学者マンフレッド マックス=ニーフ(Manfred Max=Neef)さん(1932-2019)
 マックス=ニーフは、「素晴らしい社会発展とは、人々のクオリティ・オブ・ライフに最も偉大な改善を持たらすもの。クオリティ・オブ・ライフを左右するのは、人間の基本的ニーズを満たすために持っている人々の可能性。」と定唱した。人間の基本的ニーズは9つ。人間それぞれが持つニーズの満たし方を話し合うことで理解し合える可能性がある。
 もの=ニーズが暗黙の了解になっているが、「ニーズの満たし方」があって初めてニーズが満たされる。人間の基本的な9つのニーズから考えることは、「誰ひとり取り残さない」ために必要なこと。なぜなら人々のニーズの満たし方を知ることで、その人が大切にしていることが具体的にわかるかり、そのために対話と協力関係を始めることができるから。これが持続可能な開発に向けた第1歩と思う。

・ナチュラル・ステップ(The framework for strategic sustainable development)

 持続可能な開発に向かうために5つの人間関係の壊れ方、3つの自然環境の壊れ方を示したもの。ものごとの根本をみていくこと。

人間関係は、以下5つがないと崩れると言われている。自分がこれらを阻害していると思ったら辞めた方がよい、また社会のルールが阻害していることも気にかけ、やめていくために必要な一歩をとる必要がある。

・健康でいる ・能力を発揮する
・差別がない ・意味や意義を大切にする
・人に影響を与えられる

 

 

 自然関係は、以下3つの循環を壊したとき、持続可能ではなくなる。
・自然環境が自然サイクルをまわしていく力を物理的に劣化させる。例)農地の宅地化、森林伐採、
・地殻から大量の物質を掘りだし続け、自然環境での濃度を高め続けている 例:石油、金属
・もともと自然環境になく、自然環境内で分解されるのに時間がかかる物質を自然環境に排出し続けている。例:プラスチック

 

 これらの原則を共有し、この原因を止めるためのアイディアをだし、共創しようというのがナチュラル・ステップであり、そのプロセスが向かう先が持続可能な開発であり、同時にそのプロセスそのものが私たちの持続可能な発展と言える。

世の中にたくさんの「RE」がつくものがある。
Rethink : もう一度考える
Reduce : 減らす
Reuse : 使えるものを(そのまま)もう一度使う
Recycle : 使えるものを(溶かして再生して)もう一度使う
Recover : 他に使える有用なものを取り出して使う
Reject : 害にならないように捨てる
 
 今、必要なのは「Rethink」ではないか。忙しい日常で一度立ち止まって「これは本当に必要か」等を考えてみることが必要だと思う。

 持続可能な開発は終わりのない旅。SDGsの2030年は、その1つの区切りでしかない。歴史を振り返ると農業革命や産業革命があった。これからサステナビリティのための大切な時代を生きるためにSDGsは方向性を示してくれる。産業革命ぐらいに大きなジャンプが必要かも。
 持続可能な開発はとても主観的なのでめんどくさい。しかし、それをお話したり作り合うことが豊かで意味があり、人生だと思う。出会わない出会いをもたらすのがSDGs。SDGsをつかって持続可能な開発を呼びかけて、お話したり聞き合ったりしませんか。

 

持続可能な社会をつくるのは誰だ:メジャーグループの考え方
韓国環境政策・評価研究院(KEI) 社会環境研究室 委嘱研究員
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程 カン ソンウさん

 メジャーグループとは何か。1992年リオサミットは、アジェンダ21という持続可能な開発に向けた行動計画の策定、他にも環境に関する様々なことが決まった重要な会議であった。メジャーグループは、アジェンダ21の中で、社会にある主要なグループとそれらの役割について定義された。なお、主要なグループは9つ(女性、子どもとユース、先住民、NGO、地方自治体、労働者・労働組合、ビジネスと産業、科学技術コミュニティ、農業従事者)とされた。なお、メジャーグループ9つでは不十分であると議論があり、現在はその他の利害関係者(コミュニティ、ボランティアと財団、移民と家族、お年寄りと障がい者等)も加わっている。

 メジャーグループの重要な役割を紹介する。国際会議の最後に、各国の代表と同様に各メジャーグループの代表もスピーチする時間が確保されメジャーグループとしての主張を伝えることができる仕組みがある。これは他の条約等でも同様に国際交渉への参加が保証されている。
2012年リオ+20準備委員会では、国連から各国にメジャーグループに即て市民意見を出しなさいという要請があった。その時、日本はメジャーグループに沿って委員会を開催した経緯があるが、それ以外の具体例はないと思う。

 私が思うメジャーグループのメリットは、自分は社会の中でどういう人かを考える機会になること。1つのグループに当てはまらないし、かつ所属するグループは変わっていくものであると思う。
社会の変化に対応できない人や追いつけない人とは誰なのか。メジャーグループは、社会の中にある主体を特定して参画させる、持続可能な社会を作っていく上では重要な仕組みだと考える。

 

「誰ひとり取り残さない」を実現するには?
障害者インターナショナル(DPI)北海道ブロック会議 理事 西村 正樹さん

 「誰ひとり取り残さない」というが、誰が取り残されるのか?少数民族、在日、ひとり親家庭、障がい者、、、社会生活上に様々な制限と制約を受けている人たちが社会にはいる。

 DPI(Disabled Peoples’ International)について。1981年シンガポールにて53カ国の障がい者リーダーによって設立された国際グループ。それまではRI(国際リハビリテーション協会)という福祉・医療関係者や専門家等が、障がい者の生活や課題等を決めていた。当時、こうした決定の場に障がい者は参加できなかった。RIの意思決定機関に対してNothing about us without us(障がい者のことを障がい者抜きで決めてはならない)と障がい者を半分以上参加させることを求めたが棄却された。そこから障がい者の声に基づいて運動を進めていくことをスローガンに障がい者自身による団体DPIが設立された。
 DPIの創設者のひとりである故ヘンリーヘンズは、「障がい者の置かれている困難な状況は福祉の問題として考えるのは間違っており、権利、人権、尊厳の問題である。障がい者が施設に押し込まれることは権利侵害である。障がい者の問題を解決すること、障がい者が暮らしやすい社会を実現するのは、すべての人々の基本的な問題を解決することであり、すべての人々は等しく存在する価値ある存在であり、すべての人々が尊重される社会を目指していくことである。」と説く。これがまさにDPIが国境、年齢、宗教、人種等を超えて共有しているものである。

 1981年は国際障害者年。障がい者の「完全参加と平等」という目標が掲げられた。1981年道庁は、障害者採用試験を実施し私は障がい者として道庁第1号の雇用者の一人となった。当時、障がい者の抱える困難な状況を改善するためには、行政職員としての取り組みだけでは限界を感じ、社会全体の仕組を変える必要があると思っていた中、DPIに出会いこの運動に参加した。
 2002年DPI世界会議札幌大会の誘致と開催に関り、障害者権利条約の制定、各国の法制度の整備を求める大会決議を行った。その後、それぞれは策定された。障害者権利条約の中で障がい者は「身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害を有する者であって、様々な社会的障壁との相互関係により他の者(障がいのない人)と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられている者。」と定義されている。条約は不変であり物事の是非を判断する社会の基準となる。

 DPI日本会議ではSDGsに関する会議が開催され、SDGsの各テーマに合わせて、自分たちは何に取り組んでいくのかをまとめた。当事者がいない中の議論は正当なのか。取り残されると思われる人たちの声が反映されることで問題を発見し、「誰一人取り残さない」ためには、何が必要なのか検証していくことが必要である。

意見交流
テーマ:「誰ひとり取り残さない社会のためのアクション」

 2つのトピック「3人の話を聞いて、どんなことに共感しましたか。心に響いたことを中心にお話ししてみましょう。」「「そもそも」に触れたことで、・ああ、こういうことだったのか ・あ、こっちの方向がいいなと、ご自身のこれまでの活動について思えたことはなんですか。」についてグループでお話いただきました。

 グループでのお話内容について「幸せに向かうにはどうしたらいいのかな」「子どもは大人が思っている以上に見ている。地域活動に積極的になっている大人の背中をみて育つことで、後継者の育成にもつながると思った」「SDGs達成に向けた取り組みはばらつきがあることがわかった。疑問に思うことや今日学んだことをどのように生活に活かせるのかを考えていくことも大切だと感じた」等の発表いただきました。

グラフィックレコード(写真をクリックすると拡大します)

 担当:北海道大学大学院環境科学院環境起学専攻修士 小路 楓さん

 

 いろいろな機会で「SDGs」ということを聞きますが、SDとは?「そもそも」という根っこの部分をじっくり学び合う場は実はあまりないような、けどとても大切なことであり、今回、開催できてよかったと開催報告を書きながら思っていました。SDGsはゴールであり、持続可能な社会ってなに?どうやってつくっていくの?を教えてくれるツールです。北海道地方ESD活動支援センターでは、SDGsについて情報収集や発信、そして具体的な取り組みをこれからも続けていきます!ご参加いただいた皆さま、関係者の皆さま、ありがとうございました。(大崎)