持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム公式サイドイベント開催結果について
.2023年7月16日から同年7月18日にかけて、アメリカ合衆国・ニューヨークの国連本部で開催された持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(以下「HLPF」という。)において、我が国からは柳本日本国環境大臣政務官が「第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」、「アジアと世界における気候変動とSDGsのシナジー(相乗効果)に関するエビデンスを行動へ」、「SDG6と水行動アジェンダ」、「小島嶼開発途上国(SIDS)における自然のための持続可能な資金調達とギャップを埋めるパートナーシップ」、「議会フォーラム:SDGsに向けた中間点」に出席しました。
2.それぞれHLPF2023のレビュー対象ゴールであるSDG6(水・衛生)、7(エネルギー)、9(インフラ、産業化、イノベーション)、11(持続可能な都市)、17(実施手段)に焦点を当て、当該分野における我が国の施策や取組を海外へ発信すると共に、SDGsに取り組むアジア太平洋地域の一体感を醸成する機会となりました。
1.第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議
(1)日時・場所
日時:2023年7月16日 10:00~16:45
場所:国連本部 カンファレンスルーム4
(2)主催
国連経済社会局(UNDESA)及び国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局
(3)日本政府登壇者
柳本顕環境大臣政務官
(4)概要
本会合は、2030アジェンダとパリ協定の目標に向けたシナジーの高い取組を最大化することを目的として、2019 年から開催されてきた。第4回となる今次会合は、公正で平等なネットゼロ移行、社会経済の変革へ向けた気候行動とステークホルダーの参画、気候とSDGsに係る行動とファイナンスとパートナーシップ等のテーマについて議論された。なお、第3回会合は日本国環境省がホストとなり、昨年7月に国連大学にて開催された。日本国の柳本環境大臣政務官は、ハイレベル会合にて、本年日本が議長国を務めたG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケにおいてもシナジーの重要性が強調されたことを踏まえ、それを促進するために具体的な好事例を集積する必要性に言及した。また、日本の気候変動と生物多様性のシナジーを実現している好事例(1.岡山県真庭市の森林管理とバイオマス発電、2.宮城県南三陸町のブルーカーボン(藻場の再生)及び3.千葉県印旛沼流域でのEco-DRR(生態系を活用した防災・減災))や2030年度までにネットゼロを実現する脱炭素先行地域を100か所以上創生する取組について紹介した。
また、会合の合間には日本国政府主催のランチレセプションを開催し、世界各国からの参加者間の交流が行われた。
(5) 詳細ページ
2. アジアと世界における気候変動とSDGsのシナジーに関するエビデンスを行動へ
(1)日時・場所
日時:2023年7月17日 8:45~9:45
場所:国連本部、オンライン
(2)主催・共催
地球環境戦略研究機関(IGES)、日本国環境省、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)及び国際応用システム分析研究所(IIASA)
(3)主な登壇者
柳本 顕 日本国環境大臣政務官
武内 和彦 IGES理事長
エレナ・ロベンスカヤ IIASAシステム分析プログラム推進 プログラムディレクター 兼 主任研究員
山口 しのぶ UNU-IAS所長
(4)概要
柳本環境大臣政務官は、冒頭挨拶にて、上記ハイレベル会合でも紹介した日本のシナジーを実現している好事例を紹介し、本サイドイベントにおいてもシナジーの実行や分析についての発表が行われ、アジア内外からのシナジー好事例を集積し、本年9月に開催予定のSDGサミット以降の議論につなげることを望む旨を発言した。その後、5名のスピーカーから、シナジーを促進する取組と、その実施とエビデンスとの結びつきを強化する研究や分析手法について紹介がなされた。協力国連機関のUNDESA及びUNFCCCからは、前日に開催された第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議の報告と、グローバルレベルでシナジーを促進する機運を更に高めていくことへの期待が寄せられるなど、活発な議論が行われた。
(5)詳細ページ
イベントHP
https://www.iges.or.jp/jp/events/20230717(日本語)
日本の好事例紹介ページ
https://www.iges.or.jp/en/pub/synergy-cases-jp/ja(日本語)
https://www.iges.or.jp/en/pub/synergy-cases-en/en(英語)
3. SDG6と水行動アジェンダ:能力開発
(1)日時・場所
日時:2023年7月17日 15:30~16:30
場所:国連本部 カンファレンスルーム5
(2)主催
国連水関連機関調整委員会(UN-Water)、UNDESA
(3)日本政府登壇者
柳本顕環境大臣政務官
(4)概要
本イベントは、2023年国連水会議と同会議の主要成果である「水行動アジェンダ」のフォローアップを目的として開催された。水関連の進捗状況の分析結果、成功事例や教訓が紹介されるとともに、2023年版のSDG6に関する総合報告書で示された推奨事項等に基づき議論が行われた。
柳本環境大臣政務官は、気候変動による世界各地での大雨や洪水、また途上国での水質汚染による生活環境の悪化を危惧し、日本が有する防災に関する技術と公害を克服した経験を基に、その問題解決を支援するために昨年4月に熊本で開催された第4回アジア・太平洋水サミットにおいて発表した「熊本水イニシアティブ」の日本の取組と支援を紹介した。
4. SIDSにおける自然のための持続可能な資金調達とギャップを埋めるパートナーシップ
(1)日時・場所
日時:2023年7月17日 18:30~20:00
場所:国連本部 カンファレンスルーム2
(2)主催
カーボベルデ共和国、ルクセンブルグ大公国
(3)日本政府登壇者
柳本顕環境大臣政務官
(4)概要
本イベントは、自然のためのSIDS連合により開催された自然への資金調達のソリューションに関する閣僚級イベントであり、各国のベストプラクティスや自然分野における資金支援についてのスピーチと、SIDSのための資金調達ソリューションについての新たな提案が行われた。
柳本環境大臣政務官は、世界的な環境課題に対して日本政府がSIDS諸国とともに取り組んできた事例を紹介した。特に気候変動対策と生物多様性保全の同時解決が必要であり、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions:NbS)が鍵であると確信していること、本年3月に改定した生物多様性国家戦略の基本戦略にもNbSを位置づけていくことに言及した。これらの知見を共有しつつ、JICAや国際機関を通じた途上国支援を継続することで、気候変動と生物多様性の損失という世界的な危機への対策を同時に進めていくことを述べた。
5. 議会フォーラム:SDGsに向けた中間点~議会の行動を検討するSDG6を対象とする議会活動の実践
(1)日時・場所
日時:2023年7月17日 11:20~11:50
場所:国連本部 カンファレンスルーム4
(2)主催
列国議会同盟(IPU)
(3)日本政府登壇者
柳本顕環境大臣政務官
(4)概要
本議会フォーラムでは、過去数年間におけるSDGsの実施及び今後数年間における行動の加速化に向けた議会の役割が検討された。議会による活動の中でもSDG6に関する実践に焦点を当てたセグメントでは、本年2月に国連で開催された議会公聴会での水と衛生の課題解決に関する議論を踏まえ、各国議会がSDG6達成のために実施してきた具体的な活動事例が共有された。
柳本政務官は、健全な水循環の維持・回復を目的に、国会議員が主導する形で制定した政府横断的な取組である「水循環基本法」の実例を報告した。