地域経済循環分析ツールの改定について
1.経緯
第五次環境基本計画(平成30年4月閣議決定)では、今後の目指すべき社会像として「地域循環共生圏」を掲げました。これは、各地域が地域資源を生かして自立・分散型の社会を形成すると同時に、地域間で補完し支え合うという考え方です。例えば、地域における再生可能エネルギーの導入は、脱炭素・省資源を実現しつつ、地域雇用の創出、災害時のエネルギー確保によるレジリエンスの強化といった経済・社会的な効用を生み出します。「地域循環共生圏」の創造は、国連「持続可能な開発目標」(SDGs)や、「Society5.0」の実現にもつながるものであり、その具体化に向け、多様な主体と連携しながら取組を進めていく必要があります。
こうした「地域循環共生圏」の具体化を目指すに当たって、地域内の資金の流れがどのようになっているか、環境施策等の実施によりそれがどう変化するかを把握することが重要であり、「地域経済循環分析」はそのためのツールとしての活用が期待されます。
2.地域経済循環分析の概要
地域経済循環分析は、市町村毎の「産業連関表」と「地域経済計算」を中心とした複合的な分析により、「生産」、「分配」及び「支出」の三面から地域内の資金の流れを俯瞰的に把握するとともに、産業の実態(主力産業・生産波及効果)、地域外との関係性(移輸入・移輸出)等を可視化する分析手法です。地域のエネルギー代金収支等を把握し、環境施策の立案に生かすだけではなく、経済・社会的課題の同時解決に向け、地方創生関連等の業務などへの活用も期待されます。
この分析の基礎データとして、全国約1,700自治体の「産業連関表」「地域経済計算」を推計し、データベースを構築しています。本データは、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部にも提供しており、地域経済分析システム(RESAS(リーサス))の「地域経済循環マップ」にも活用されています。
3.ツール改定の概要
(1)「地域経済循環分析自動作成ツール」の機能強化
「地域経済循環分析自動作成ツール」は、環境省ホームページで平成29年7月から公開しています。本ツールでは、ユーザーが選択(複数選択可)した任意の市町村について、地域版GDP統計、産業ごとの取引構造、貿易・サービス収支、エネルギー代金収支、エネルギー生産性などの分析結果が自動出力されます。今回のツール改定により、夜間人口一人当たり所得、CO2排出量の分析結果を新たに出力できるようになりました。
(2)「経済波及効果分析ツール」の構築
本分析の基礎データを活用して、施策の経済波及効果をシミュレーションできる「経済波及効果分析ツール」を構築しました。本ツールでは、ユーザーが選択(市町村単位)した任意の市町村において、新規事業(再生可能エネルギーの導入等の環境施策や、中心市街地活性化等の地域施策)を実施することによる地域経済への波及効果を分析し、その結果が自動出力されます。なお、本ツールの提供に当たっては事前の申請が必要です。
<経済波及効果分析ツールの施策メニュー>
・太陽光発電(売電)
・風力発電(売電)
・木質バイオマス発電(売電)
・太陽光発電(自家消費)
・空き屋対策(移住による居住人口の増加)
・中心市街地活性化(域内調達率の向上)
・高効率ボイラー等の設備投資(省エネに伴う節約金額による投資等の増加)
上記各ツールの利用方法の詳細については、下記ホームページをご参照ください。
「地域経済循環分析自動作成ツール・経済波及効果分析ツール」ホームページ
http://www.env.go.jp/policy/circulation/index.html
連絡先
環境省大臣官房総合政策課
- 代表 03-3581-3351
- 直通 03-5521-8227
- 課長 角倉 一郎(内線 6210)
- 課長補佐 沼田 正樹(内線 6249)
- 担当 安田 政幸(内線 6266)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成29年7月7日
- 地域経済循環分析自動作成ツールの提供について
- 平成27年12月4日
- 「地域経済循環分析用データ」の提供開始について(お知らせ)