北海道地方ESD活動支援センター

【訪問!ESD実践拠点(3)】北海道シュタイナー学園いずみの学校(豊浦町)

 2020年2月22日(土)豊浦町にある北海道シュタイナー学園いずみの学校(以下、「いずみの学校」という。)に行ってきました!この日は、学校行事である展示の日を、一般の方も見学できる学校見学日。児童生徒の一年間の学びのノートや作品の展示と各クラスの担任の先生がそれらについて説明してくださる日でした。いずみの学校は、ESDと謳っていないですが、いずみの学校の目標には「一人ひとりの人間が、持って生まれたかけがえのない可能性を開花させ、どのような状況においても、喜びを持って世界に向き合い、関わり、自分の個性を活かした役割を果たすことができる。 いずみの学校は、子ども達が将来そのような大人として生きていけるよう、成長を助け、導いていくことを目標としています。」と記載があり、展示の内容や先生方のお話からそれらが伝わってきましたので、ここで報告します。

なお、当日、プライバシー保護のため写真撮影は禁止されていました。文字が多めですが、ご覧いただけると嬉しいです。

 

展示の日(学校見学日)

 学校に到着すると鹿俣智裕さんが笑顔で出迎えてくれました。今回の訪問にあたり学校内と調整してくださった先生です。鹿俣さんのご案内で校内を回らせていただきました。なお、いずみの学校は、児童生徒の学習環境を優先させるため授業見学はお断りしており、年に数回ある学校見学日や行事のみ公開する方針でした。公開日についてはいずみの学校のウェブサイトをご覧ください。

 学校に入ると目に飛び込んできたのは蛍光灯を覆うベージュ色の布。布からでる光によって廊下や教室は明るすぎず優しい雰囲気。強い刺激をできるだけ和らげたいという方針とのこと、印象的でした。見学は、1年生から12年生(高校3年生)の教室を順次回りました。1~12年生という表現はなじみがないですよね。いずみの学校では、幼児をこどもの園、1~6年生を初等部(小学校)、7~9年生を中等部(中学校)そして10~12年生を高等学園(高等学校)としています。学校法人である初等部と中等部は教育基本法、学校教育法に基づき、NPO法人であるこどもの園と高等学園と合わせて「一人ひとりの子どもの内に全人としての尊厳を尊重する」という教育理念を基盤に、15年間の幼小中高一貫教育に取り組まれています。

 教室は私がイメージするものとは違い、教室の壁がピンクや青、黄色など学年ごとの色があったのです。壁の色があることで明るさを感じました。そして黒板が2枚あり、うち1枚にはシーサーや日本地図等のそのときの中心的な学習内容が担任の先生によって見事な絵になって描かれていました。中心的な学習内容とは、いずみの学校の特徴的な学びの1つです。それは1つのテーマについて毎日約1時間半、それを3~4週続けるというメインレッスンです。児童生徒は、テーマについて絵や工作、歌など五感を使いながら学びます。学んだ内容は大判のノートに自らが書いていき、ゆくゆくは世界に1つの教科書に。いずみの学校では教科書を使わないとのこと。このノートが唯一無二の教科書になるそうです。

 

 ノートには例えば、1年生は線や図形の書き方、学年があがるにつれ漢字の成り立ち、植物や動物、歴史上の人物画、建物などとその説明も描かれていました。同じ内容を学習していますが、使う色、大きさ、書き方、強弱のつけ方などは1つ1つ違いがあり、個性が光るノートでした。

いずみの学校ウェブサイトから一部のノート等がご覧いただけます 。(左の画像はいずみの学校ウェブサイトより)

 

 

 ノートの他に、編み物、粘土でつくる人形、木材や石、布などを使いながらテーマにそった学びがあることが印象的でした。さらに、廊下や窓際に折り紙で作った雪の結晶や冬にあう人形などが置かれていました。これは親御さんが自主的に季節にあったものを置いてくださるとのこと。学習環境をいろいろな方が支えていることを拝見して心が温かくなりました。

 

いずみの学校ができるまで

 校長の米永宏史さんにお話をお伺いしました。現在、豊浦町にあるいずみの学校、初めは隣町の伊達市で1996年に未就学児を対象とした「こどもの園」が開園されました。次第に対象学年が広がり、豊浦町とご縁があり2008年に現在の所へ移転。シュタイナー学園(神奈川県)に次いで全国で2番目に国から認められた学校となりました。

 いずみの学校の基盤となるドイツ生まれのシュタイナー教育は2019年に100周年を迎え、世界各地で「生きる力」を育むために各地にあった内容の教育が進められているとのことです。

 

 私の中にある「学校教育」の概念が覆りました。私もここで学びなおしたい、そう思いました。人間は1人では生きることができません。複雑な社会に暮らすために人と協力する力、情報を伝える力、必要なものを創り出す力、主体的にものごとを考える力などが必要です。いずみの学校にはそれがすべて含まれていることを体感しました。

 お忙しいところお話をお伺いさせていただいたことに感謝申し上げます。(大崎)

 

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☆北海道シュタイナー学園いずみの学校

 〒049-5411 北海道虻田郡豊浦町字東雲町83-2

 TEL/FAX:0142-83-2630

 URL:https://hokkaido-steiner.org

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[アーカイブ]

 訪問!ESD実践拠点

 (1)釧路ユネスコ協会(釧路市)https://epohok.jp/act/info/10158

 (2)標津サーモン科学館(標津町)https://epohok.jp/act/info/11019

 (3)北海道シュタイナー学園いずみの学校(豊浦町)https://epohok.jp/act/info/11696