行政(環境省)の環境情報

「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」の公表について

環境省では、近年の自然災害の激化等を踏まえ、生態系が持つ多面的機能を防災・減災に活用する考え方であるEco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)について、現場での実装を支援するために、「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」を作成しました。本手引きの普及等を通じて、自然災害に対するレジリエントな地域づくりと生物多様性の保全の両立に貢献してまいります。

経緯 

 生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR: Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)は、生態系の保全・再生を通じて防災・減災や生物多様性を含めた地域の課題を複合的に解決しようとする考え方です。Eco-DRRは防災・減災や生物多様性の保全に寄与するだけではなく、地域に自然と触れ合う場を提供するといった社会的な効果や、エコツーリズムの実施等による経済的な効果など、幅広い社会・経済効果が期待できます。
 Eco-DRRの推進は、「第五次環境基本計画」(平成30年4月)や「生物多様性国家戦略2023-2030」(令和5年3月31日閣議決定)をはじめ、各種計画に位置づけられています。
 環境省では、Eco-DRRの地域実装に向けた取組を推進するため、「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」を作成しました。
 

「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」の主な内容 

 本手引きは、Eco-DRRを推進するにあたって、そのポテンシャルがあると考えられる場所を可視化する「生態系保全・再生ポテンシャルマップ」の作成方法や活用方法を示したものです。生態系の保全・再生を図ることによって、生物多様性の保全だけではなく、防災・減災にも寄与すると考えられる具体的な場所を可視化することで、Eco-DRRに関する施策の検討や合意形成を図るための基礎資料として活用されることが期待されます。
 

「生態系保全・再生ポテンシャルマップ」の作成に必要な全国規模の基礎情報の公開 

 「生態系保全・再生ポテンシャルマップ」は、既存の土地利用や生態系の分布に関する情報をGIS(地理情報システム)を用いた地理空間情報の重ね合わせによって作成することを想定しています。今般、湿地環境を主たる対象とした生態系保全・再生ポテンシャルマップの作成に必要な基礎情報として、以下①~⑤の指標による全国規模の評価結果をベースマップとして公表しました。
 

項目 評価指標
湿地環境のポテンシャルがある場所 湿地としてのポテンシャルがあり、一時的に水を貯留できる可能性がある場所 ① TWI(地形的湿潤度指数)
② HAND(最近接水路鉛直距離)
緑地として残すことで雨水の浸透が期待される場所 ③ 地形・地質等から期待される雨 水浸透機能
生物多様性保全を図る上で重要な場所 ④ 自然的景観の多様度
⑤ 水田の占有率
 「環境アセスメントデータベースEADAS(イーダス)」では地図上で表示したデータを、また、環境省自然環境局生物多様性センターのウェブサイトでは、GISデータとしてダウンロード可能なデータを掲載しています。
 
○ 環境省 環境アセスメントデータベース EADAS(イーダス)
https://www2.env.go.jp/eiadb/ebidbs

○ 環境省自然環境局生物多様性センターHP
https://www.biodic.go.jp/Eco-DRR/index.html

 

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性戦略推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8273
室長
山本 麻衣
室長補佐
奥田 青州
係長
福井 俊介
担当
石井 颯杜

 

引用:https://www.env.go.jp/press/press_01389.html