「SDGs経営ガイド」を取りまとめ
昨今、企業においてSDGs(※1)をいかにして企業経営に取り込み、ESG投資(※2)を呼び込んでいくかは、持続的な企業価値の向上の観点から重要な課題です。
経済産業省では、昨年11月に「SDGs経営/ESG投資研究会」を立ち上げ、6回にわたり議論を深めてきましたが、本日、研究会での議論をもとに、企業がいかに「SDGs経営」に取り組むべきか、投資家はどのような視座でそのような取組を評価するのか等を整理した「SDGs経営ガイド」を取りまとめましたので、お知らせします。
1.背景
2006年に国連が責任投資原則(※3)を定めて以降、持続可能性を重視するESG投資は急速な拡大を見せています。そのような中、2015年の国連サミットにおいて、グローバルな社会課題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標であるSDGsが採択されました。
今や世界中の企業がSDGsを経営の中に取り込むことでESG投資を呼び込もうと力を注いでおり、日本においても、SDGsと経営を結び付けることで企業価値を高めるべく先鋭的な取組を進めている大企業・ベンチャー企業も多くみられます。
政府においても、このような流れを踏まえ、SDGs推進本部(本部長:内閣総理大臣)において「拡大版SDGsアクションプラン2018」(2018年6月)や「SDGsアクションプラン2019」(2018年12月)を策定し、「SDGs経営推進イニシアティブ」を進め、企業等の経営戦略へのSDGsの組込みを推進することとしています。
2.SDGs経営/ESG投資研究会
経済産業省は、このような流れを受け、昨年11月に「SDGs経営/ESG投資研究会」を立ち上げ、委員である日本を代表する大企業・ベンチャー企業のCEO、投資家、大学の長に加え、ゲストとして国際機関の長らの参加も得ながら、6回にわたり議論を深めてきました。政府リードのもとで、幅広いステークホルダーのトップの参加を得ながら、SDGs経営とESG投資について議論をする場は、世界でも先進的なものです。
具体的には、国内外のSDGs経営の成功事例に焦点を当てつつ、いかにして企業がSDGsを経営に取り込んでいくか、また、投資家はどのような視座でそのような取組を評価するのかなどについて、多岐にわたり、かつ、掘り下げた議論を行ってきました。
また、この研究会は、「価値協創ガイダンス」以来、経済産業省が重要な課題として力を入れ続けている、企業と投資家の建設的な対話の促進の流れを汲むものであり、SDGsが企業・投資家にとってどのような意味を持つのかを各論として掘り下げるものでもあります。
3.「SDGs経営ガイド」の構成と概要
本ガイドにおいては、研究会での議論をもとに、「Part1.SDGs-価値の源泉」においてSDGsに関する現状認識を多様な観点から示した上で、「Part2.SDGs経営の実践」において、企業が「SDGs経営」を実践する際に有用な視点を整理しています。
「SDGs経営ガイド」の概要
はじめに
Part1.SDGs-価値の源泉
I 企業にとってのSDGs
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SDGsは企業と世界をつなぐ「共通言語」
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SDGsは「未来志向」のツール
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SDGs-企業経営における「リスク」と「機会」
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日本企業の理念とSDGs
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ベンチャー企業とSDGs
II 投資家にとってのSDGs―SDGs経営とESG投資―
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投資家を取り巻く環境変化
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長期的な企業価値の評価とSDGs
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SDGs経営を行う企業のパフォーマンス
III マルチステークホルダーとの「懸け橋」
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「SDGsネイティブ」としてのミレニアル世代
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SDGsと従業員/消費者
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「知の総体」としての大学の役割
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「連携」はSDGs経営の重要なカギ
Part2.SDGs経営の実践
I 社会課題解決と経済合理性
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経済合理性を見出し、新たな市場を取りに行く
II 重要課題(マテリアリティ)の特定
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重要課題を特定し、資源を投入する
III イノベーションの創発
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社会課題を解決するイノベーションを「協創」する
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経営者自身が新規事業をリードする
IV「科学的・論理的」な検証・効果
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「科学的・論理的」な検証・評価を徹底する/させる
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国際標準を、積極的に活用する
V長期視点を担保する経営システム
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SDGs経営を「仕組み」で持続させる
VI「価値創造ストーリー」としての発信
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「価値創造ストーリー」を描き、発信する
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「選ばれたい人」に刺さるメッセージを発信する
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的確に伝え、対話し、更なる価値創造へ
おわりに
本ガイドについては、日本企業のみならず、SDGsの経営への取込みを模索する世界中の企業によって、また、そのような企業活動を支える国内外の投資家、関係機関あるいは各国政府によって、今後の取組の羅針盤として活用されることが期待されます。
今後、G20等の場も活用し、日本企業の「SDGs経営」の優れた取組を含め、本ガイドを広く国内外に発信し、普及・浸透を図ってまいります。
(※2)ESG投資:財務情報だけではなく、企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に関する取組も考慮した投資。
(※3)責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment):機関投資家の意思決定プロセスにESG課題を組み込み、受益者のために長期的な投資成果を向上させることを目標とした原則。
関連資料
- SDGs経営ガイド(日本語)(PDF形式:6,705KB)
- SDGs経営ガイド概要(「『SDGs経営ガイド』について」より抜粋)(PDF形式:411KB)
- 『SDGs経営ガイド』について (PDF形式:15,769KB)
関連リンク
- 「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」を策定しました(経済産業省HP)
- 企業と投資家の対話のための「価値協創ガイダンス」(価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス - ESG・非財務情報と無形資産投資 - )
- SDGs推進本部(首相官邸HP)
担当
経済産業政策局 産業資金課長 福本
担当者:中野、髙津戸(たかつと)
電話:03-3501-1511(内線 2641~5)
03-3501-1676(直通)
03-3501-6079(FAX)
引用:https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003.html