ESDの推進

NPO法人西興部村猟区管理協会

  平成28年3月4日(金)、農林業被害やロードキルなど多くの課題をもつエゾシカ。エゾシカにまつわる課題を解決しようと調査研究、有効利用やハンターの育成を行う西興部村の伊吾田 順平さん(NPO法人西興部村猟区管理協会 事務局長)に取り組みについて伺いましたので、簡単ではございますがご紹介します。

 

 

 

NPO法人西興部村猟区管理協会の環境教育やハンター養成プログラムについて

2004年から小学生を対象とした環境教育を年3回程度(季節に分けて)実施されています。内容は、西興部村の自然を生かしたもの、エゾシカのイロハについて学ぶプログラムです。毎回約25名が参加。夜間、路上から森に向かってライトでエゾシカを探す調査「ライトセンサス」の時は、農業被害やロードキルなどエゾシカに関わる課題も一緒にお伝えしているとのこと。
「来年度はエゾシカの解体現場もみるようなプログラムにしたい」と伊吾田さん。なかなか見ることができない解体現場を利用したプログラムは、参加者へのインパクトは大きそうです。「西興部のフィールドを貸してもらっているので、恩返しも含めて地元への還元を行っていきたい。また、参加した子ども達には将来野生動物に関わってほしい」と伊吾田さんから西興部村で環境教育を行う理由をお話しいただきました。

詳しくはウェブサイトをご覧ください。

 

その他にも、エコツアーの企画・実施、オーダーメイドエコツアーの提案(平成27年度より)を行い、多様なニーズにお応えできるようなプログラムを展開されています。

 

また、新しい試みとしてイギリスのシカ関連の認証制度であるDSC(Deer Stalking Certificate)を参考にしたシカ捕獲認証制度(Deer Culling Certificate、略称DCC)を作成されました。これは、野生動物を地域内で管理していくための、ハンターの教育と認証を行うことに加えて、取得者同士の情報交換等によるスキルアップにもなりそうです。
詳しくは、一般社団法人エゾシカ協会 シカ捕獲認証制度をご覧ください。

 

さらに、人材育成や未来への投資としてハンター養成も行っています。
西興部の猟友会は約15名であり、若者も入ってきていて、ハンターの数は増えてきているとのこと。「過去には4名までハンターが減った時期もあったが、取り組みの成果が出てきている」と伊吾田さん。伊吾田さんご本人も10年前に西興部村に来てから狩猟免許を取りハンターを始めた1人です。
ちなみに、エゾシカ肉の販売は、西興部村養鹿研究会が行っています。

詳しくはこちらをご覧ください

 

運営体制や連携相手について

常勤は伊吾田さんと地域おこし協力隊の方2名、非常勤ではNPO法人西興部村猟区管理協会の会長1名の合計3名の体制です。
ボランティアさんは大学生も含め約7名で、主に安全管理を担当されています。このような人員体制の中で、上記の環境教育やエコツアーを実施されています。
外部の方では、酪農学園大学や東京農工大学、森林総合研究所とも連携を行っているとのことです。

 

これからの取り組みに向けて


「20~30代の方を対象にハンター養成を行っていきたい。特にエゾシカを衛生的に解体できる方がほしい。しかし、ハンターの出口がないのが現状。また、50億円という農業被害があるが、国の鹿対策予算はいつまであるのかわからない。行政には場当たり的なことだけはなく、長期的な視点を持って考えた対策を期待する。例えば、各地域特性を理解し、町を超えた広域でエゾシカの管理体制を設ける必要があると思う」とお話いただきました。

貴重なお話をいただきました伊吾田さんありがとうございました。エゾシカについて学ぶならぜひ、西興部村へ!ご訪問ください。(大崎)

 

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