ESDの推進

【ESD】美幌博物館

 平成28年3月3日(木)に自然科学(昆虫、魚、植物)、考古学、美術分野の学芸員6名体制で様々な取り組みを行っている美幌町博物館で、環境教育や市民と協働による調査などの取り組みについて、学芸員の町田善康さん、鬼丸和幸さんにお話を伺いました!

美幌博物館とは 

 美幌の歴史、生活、自然、美術などに関する展示をしている美幌博物館の展示室は、美幌町内にある人工ため池を中心とした手作り展示がひろがっていました。ここは昭和62年のオープン当時、農業館として町民向けに気象情報等を提供していましたが、町内に農業センターの完成とともに移転。平成22年から約5か月間ボランティアさんと一緒に新しい展示内容の企画・作成に取り掛かったそうです。
ちなみに、美幌はアイヌ語で水がいっぱいある、川が多い街という意味。
展示室のテーマを「自然と人を交じり合ったもの」とし、人工のため池に住む昆虫、魚類などの魅力をたっぷり伝える展示内容となっていました。

 

 

現在実施している環境教育プログラム

 学芸員の専門性を活かして、地域の自然紹介等の講座を実施されています。(対象は小学校3年生以上)
講座の中には、2日間連続講座として1日目に講演を行ってテーマについて知識を深めた後に、2日目に現場に行ってみるというプログラムもあるようです。美幌博物館を身近に感じてもらうために、美幌町の特徴である「麦わら」を使った虫かごづくり、平日には出入り自由なで誰もができるプログラムを行っています。
毎年テーマを変えて開催する展示会は、昨年度のテーマ「すてきな昆虫たち」。展示会が終わった後でも学びを提供できるように冊子の作成。(なんとデザインは学芸員さん自身で!こちらをご覧ください

 広報誌「GREEN LETTER」にはイベント情報や生き物情報等を掲載。毎月2名の職員がローテーションで執筆し、図書館や社会教育施設、学校に配布しています。こちらからもご覧いただけます

 自主事業の他にも、町内の小中学校、高校、大学、サークルの方から講座の相談を受けているとのこと。具体的には、川が近くにある小学校では春夏秋冬4回季節ごとに合わせた内容を提供され、魚がなぜいるのか?と生態系のつながりを実感できるように伝え、事前講座や振り返りも大切にされています。
学校が美幌博物館を利用しやすくするために、「美幌博物館ご利用の手引き」の作成。詳しくはこちらをご覧ください

 「学校の先生方と出前講座の改善について話す場があるといいと思っていた。社会教育施設の方とお話をすることは多いが、実は学校関係者の方と話すことはない。しかし、地域で博物館が残るためには、地域に認めてもらうために学校との連携が大切」と地域内の連携の大切さをお話しされていました。

 「子ども達は外に出るだけで楽しい。春にはいなかったところに、夏は生き物がいることに感動を覚える。しかし、危ない!という周りから言われているため、川で遊ぶことがなくなってしまった。自然の川は自然と高低差ができて問題なく、危ない生き物や植物を知っていれば外で遊ぶことに危なさはないと思う」と町田さん。野外講座を行う上で町田さんが心がけていることは、「危ないことのルールを示し、伝えたいことのみ伝える」他は自由にさせているとのことでした。

外来種問題と高校連携

 美幌町の外来種はウチダザリガニがいるが、外来種=悪者となっている。「駆除は大人が責任持つべき、子どもはのびのびと育ってほしい」と、外来種問題の経緯をしっかりと紹介をすること、ウチダザリガニの駆除をするかしないかは、子ども達の意志にお任せをするよう心がけておりました。

 ウチダザリガニ対策として、美幌博物館が美幌高校は連携。ウチダザリガニを肥料にすると根菜類の生育に有効な研究結果がだされました。他にも高等教育機関が研究対象として美幌町のフィールドを使うことがあるようです。
紹介記事:伝書鳩 ウチダザリガニを肥料に

地域住民との連携について

 現在ボランティアさんは約50名。講座の参加者が多い時に安全管理などのお願いをしているそう。ただ、「ボランティアさん同士横のつながりを持つ機会を持ちたいと考えているが、なかなか実施できていない。将来的にはボランティアさんが講師を務めるようにもしていきたい」と。

 美幌博物館では、住民の方と一緒に生き物の分布調査を論文でまとめたり、市民との協働調査が行われています。自然再生の1つとして魚道を2年かけて7つ手作りで設置し、現在、管理は「駒生川に魚道をつくる会」で行っていて「いい自然を見てきたらそれを復元して、子ども達に見せていきたい。日常的な調査も大切であるが、地域のものを気にし続けることが大切であり、魚道を作ったことでそうなると思う。」と町田さんは期待されていました。

 

 博物館の役割は、教育、コレクションの収集、美幌を知るための調査研究、新しい生き物がいたら採取場所や採取者の名前を残して保管すること。これらを大切にしながら多くの方に来て、楽しんでもらいたいと、お話しいただきました。
貴重なお話をいただきました町田さん、鬼丸さんありがとうございました!(大崎)

 

●オホーツク地域の情報は、こちらもご覧ください。
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