行政(環境省)の環境情報

令和元年度PRTRデータの概要等について-化学物質の排出量・移動量の集計結果等-

環境省は、経済産業省と共同で、化学物質排出・移動量届出(PRTR)制度に基づく化学物質の令和元年度の排出量・移動量等のデータの集計等を行い、その結果を取りまとめました。
令和元年度の届出排出量は140千トン(前年度比5.7%の減少)、届出移動量は244千トン(同0.7%の減少)、その合計は384千トン(同2.6%の減少)となりました。
排出量・移動量等の集計結果は、事業者から届出された事業所ごとの届出排出量・移動量とともに、環境省のウェブサイト上で公表します。
 

1.経緯

 平成11年7月に公布された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下「化管法」という。)に基づき、化学物質排出・移動量届出(PRTR:Pollutant Release and Transfer Register)制度が導入されました。

 PRTR制度の導入により、相当広範な地域の環境において継続して存すると認められ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質(第一種指定化学物質)について、事業者は環境中へ排出した量(排出量)や廃棄物などとして処理するために事業所の外へ移動させた量(移動量)の届出を行い、国はその集計結果及び推計を行った届出対象外の排出量の集計結果を公表することとなっています。

 令和元年度の届出排出量・移動量については、令和2年4月1日から令和2年7月31日までの間に、全国33,318の事業所から届出が行われました。なお、今年度の届出については新型コロナウイルス感染症拡大の状況を考慮し、届出期間を7月31日まで延長しました。

 今般、環境省は、経済産業省と共同で、化学物質の届出排出量・移動量(PRTRデータ)を集計するとともに、届出対象外の排出量の推計及び集計を行い、その結果を集計表として取りまとめました。なお、平成20年11月の化管法施行令の改正により、平成22年度の届出から、対象物質の見直し(354物質に代えて462物質を指定)及び医療業の対象業種への追加がなされています。

2.令和元年度PRTRデータのポイント

(1)届出排出量・移動量

 令和元年度の1年間に届出対象事業者が把握し、令和2年4月1日から令和2年7月31日までに届出を行った排出量・移動量を集計しました。令和元年度は、前年度に比べ、届出排出量・移動量ともに減少しました。

 このうち、平成22年度の届出対象物質の見直し前後で継続して届出対象物質として指定されている物質(以下「継続物質」という。276物質。)について比較したところ、届出排出量・移動量ともに減少しました。

  ●全対象化学物質(462物質のうち届出があった433物質)

  平成30年度 令和元年度 前年度との比較(△:減少)
届出事業所数(事業所) 33,749 33,318 △1.3%
届出排出量(トン) 148,658 140,127 △5.7%
届出移動量(トン) 245,559 243,927 △0.7%
届出排出量・移動量(トン) 394,218 384,054 △2.6%

  ●継続物質(276物質のうち届出があった262物質)

 

平成30年度

令和元年度

前年度との比較(△:減少)

届出排出量(トン) 132,409 124,817 △5.7%
届出移動量(トン) 220,971 219,750 △0.6%
届出排出量・移動量(トン) 353,380 344,568 △2.5%

(2)届出外排出量

 届出対象以外の事業所や、家庭、自動車等からの排出量については国が推計を行いました。その結果、令和元年度に推計対象とした物質(335物質)の届出外排出量は206,179トンでした。前年度の届出外排出量は221,047トンでしたが、推計対象とした物質数は今年度と異なり、また一部の項目について推計方法の見直しを行っています。

(3)前年度と比較した傾向

・ 届出事業所数:届出事業所数は33,318で微減(前年比△431事業所)、届出事業所数の減少の寄与が最も大きかった業種は燃料小売業(前年比△186事業所)でした。

・ 届出排出量:届出排出量が増加した主な業種は船舶製造・修理業、舶用機関製造業(前年度比+0.56千トン)、倉庫業(同+0.19千トン)、家具・装備品製造業(同+0.030千トン)でした。一方、届出排出量が減少した主な業種は化学工業(前年度比△1.8千トン)、非鉄金属製造業(同△1.3千トン)、プラスチック製品製造業(同△1.3千トン)でした。

・ 届出移動量:届出移動量が増加した主な業種は化学工業(前年度比+4.1千トン)、医薬品製造業(同+0.98千トン)、電気業(同+0.44千トン)でした。一方、届出移動量が減少した主な業種は窯業・土石製品製造業(前年度比△4.0千トン)、電気機械器具製造業(同△1.2千トン)、プラスチック製品製造業(同△0.81千トン)でした。

・ 届出外排出量:今年度、汎用エンジンや特殊自動車等の推計方法の見直しを行ったこと等により、届出外排出量が減少しています(汎用エンジン:平成30年度3.1千トン→令和元年度1.3千トン、特殊自動車:平成30年度4.3千トン→令和元年度2.0千トン)。

3.公表資料

 公表資料につきましては、本日3月19日から以下のウェブサイトに掲載します。

環境省 https://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html

(集計結果:https://www.env.go.jp/chemi/prtr/result/index.html

(個別事業所のデータ:https://www.env.go.jp/chemi/prtr/kaiji/index.html

経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html

4.その他

 環境省では、集計結果から作成したグラフ・地図など、膨大なPRTRデータを分かりやすく表示した資料を前述のウェブサイトに掲載しています。

 また、PRTR制度を広く一般の方にも御理解・御活用いただけるよう、PRTRデータについて分かりやすく解説した「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック -化学物質による環境リスクを減らすために-」を毎年作成しています。今回公表した令和元年度集計結果の解説を追加するなど内容を新たにしたガイドブックについては、令和3年10月を目途に公表する予定です。なお、現在は上記ウェブサイトにて平成30年度集計結果を掲載したガイドブックを公開しています。

添付資料

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境安全課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8259
  • 課長太田志津子
  • 課長補佐福嶋 慶三(内線 6359)
  • 課長補佐東島 正哉(内線 6360)
  • 係長前田 健太郎(内線 6390)
  • 担当松波 若奈(内線 6370)

 

引用:環境省_令和元年度PRTRデータの概要等について-化学物質の排出量・移動量の集計結果等-