第5回大気汚染に関する日中韓三カ国政策対話の結果について
1.経緯
平成25年に開催された第15回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM15)の合意に基づき、毎年、大気汚染に関する日中韓三カ国政策対話を開催しており、今般、第5回目の政策対話を開催しました。なお、政策対話の前日(2月6日(火))に、政策対話の下に設置しているワーキンググループの会合を開催しました。
2.会合の概要
○ 日程 平成30年2月7日(水)~8日(木)
○ 場所 韓国・ソウル
○ 参加者 三カ国の政府・研究機関の行政官・専門家等
日本 環境省 水・大気環境局 大気環境課 渡辺主査、アジア大気汚染研究センター、海外環境協力センター(計5名)
中国 環境保護部 大気環境局 地域協力課 ZHANG課長補佐、ほか5名
韓国 環境部 環境政策局 清浄大気計画課 HONG課長、ほか10名
○ 議題 別紙参照
3.結果の概要
○ 三カ国の政策に関する情報共有・意見交換
三カ国の最近の大気汚染に関する政策について情報共有を行い、その進捗を確認するとともに、引き続き三カ国が連携した取組を進めていくことで意見が一致しました。
我が国からは、PM2.5に関する短期的課題への対応状況(燃料蒸発ガス対策及びガソリン直噴車・二輪車の排出ガス対策)、大気汚染防止法に基づく水銀排出ガス削減に向けた自主的取組、「建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン」(平成29年4月作成、公表)及び「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」(平成29年9月改訂、公表)等について発表しました。
中国からは、国内の大気質は近年大幅に改善されていること((北京天津河北省地域における2017年のPM2.5年平均濃度は2013年比39.6%減等)、2013年9月に通達された「大気汚染防止行動計画」(略称:大気十条)における2017年のPM2.5等削減目標は全て達成されたこと、産業・エネルギー・交通構造が変革していること(小型の石炭火力ボイラーの廃止、太陽光発電の普及、旧式自動車の走行禁止等)、大気環境改善に向けた履行体制が強化されていること(排出事業者の監視、省庁間・地域間の連携、環境保護税法の施行等)などが発表されました。
韓国からは、国内の粒子状物質が一定の濃度域で停滞していること、文在寅政権国政運営5箇年計画に掲げられた100の優先分野の1つ(微細粉塵の心配がない快適な大気環境づくり)として2017年9月に微細粉塵削減に向けたマスタープランを公表したこと、マスタープランに基づき微細粉塵の排出量を2022年までに30%削減するための対策(老朽火力発電所(10基)の全面閉鎖、道路清掃車の倍増(2017年1008台→2022年2100台)等)を講じていくことなどが発表されました。
○ ワーキンググループにおける進捗の確認
ワーキンググループI(対策に関する科学的研究)では、①印刷・塗装分野におけるVOC汚染管理の経験及び②VOC排出インベントリの研究と適用について、三カ国間で技術的な意見交換を行いました。今後は、自動車の排出ガス基準、燃料品質基準、旧式自動車対策等について技術的な意見交換を進めることに合意しました。
ワーキンググループII(大気のモニタリング技術及び予測手法)では、①PM2.5・オゾンのデータ公開・管理及び②自動車以外の移動発生源(オフロード車等)の排出インベントリ策定手法について、三カ国間で技術的な意見交換を行いました。今後は、モニタリング手法に関する基準、モニタリング作業のためのガイドライン、モニタリング体制構築のための標準作業手順書等について技術的な意見交換を進めることに合意しました。
○ 今後の進め方
政策対話の会合間においても、各国の担当者が密に情報交換を行うことで意見が一致しました。次回の政策対話は平成31年2月に日本で開催することを確認しました。
4.今後の対応
今回の政策対話の結果については、本年に開催予定のTEMM20に報告する予定です。
我が国としては、上記のとおり近年強化されている中国・韓国の大気汚染対策を技術的に支援するため、本政策対話における情報共有・意見交換を推進するとともに、日中韓三カ国を含むアジア地域における良好な大気環境の共有に向け、大気に関する様々な地域的取組を今後とも推進していきます。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局大気環境課
直通 03-5521-9021
代表 03-3581-3351
課長 髙澤 哲也(6530)
主査 渡辺 聡 (6547)