北海道生物多様性保全ダイアログ

【開催報告】北海道生物多様性保全ダイアログ 第1回「生物多様性をめぐる現状とこれから」

この度、北海道と北海道生物多様性保全活動連携支援センター(HoBiCC)と共催で、北海道生物多様性保全ダイアログ 第1回「生物多様性をめぐる現状とこれから」を開催いたしました。

開催概要

チラシはこちら

開催趣旨:北海道では、2023年度に北海道生物多様性保全計画を改定する予定です。改定を前に、北海道の自然環境を巡る課題や、将来北海道の自然とどのように向き合っていくかを考える機会として、様々なテーマを取り上げるダイアログを開催します。第1回目は、自然環境に関わる政策のこれまでの経緯や、近年、国際的に主流になりつつある考え方、さらに北海道での政策形成に向けたステップについて、基本的な情報を学びます。

日時:2021年12月21日(火)16:00~18:00

開催方法:オンライン(Zoomを使用)

対象:北海道の自然環境保全や利用について関心のある方、一次産業や観光など生態系サービスにより地域経済に携わっている方

参加者:78名(うち関係者7名)

 主催:EPO北海道、北海道、北海道生物多様性保全活動連携支援センター(HoBiCC)

プログラム及び資料

・開会、趣旨説明
・北海道生物多様性保全計画見直しに向けて 説明 資料(PDF:611KB)
 橋本 和彦 氏(北海道環境生活部 環境局 自然環境課)
・講演「生物多様性をめぐる現状とこれから」
 渡辺 綱男 氏(一般財団法人自然環境研究センター 上級研究員) 資料(PDF:18MB)
・質疑応答
 モデレーター 吉中 厚裕 氏(酪農学園大学 農食環境学群 環境共生学類 准教授)
 
 ★当日の様子(YouTube) https://www.youtube.com/watch?v=waYJmTRbm5w
 

内容

本企画では、生物多様性保全計画の改定にあたり、環境保全に関心のある皆さまから計画へのご意見をいただく場とし、開催しました。今回はダイアログ第1回目ということで、北海道環境生活部自然環境課の橋本さんから北海道の生物多様性保全計画見直しに向けてご説明いただきました。

その後、一般財団法人自然環境研究センターの渡辺さんより、「生物多様性をめぐる現状とこれから」をテーマに、ご講演いただきました。

以下、講演後に行われた質疑応答の内容の一部を掲載しております。ご参加いただいた皆様、大変ありがとうございました。当日のアーカイブと資料は上記に掲載しておりますので、ご覧ください。

質疑応答(抜粋)

Q.生物多様性の国家レベルの施策がわかりにくいと感じている。
省庁間の連携部分を中心に国レベルでどうされようとしているか、あるいは過去どのように手を携え施策が進んできたのか、という感じでご説明いただきたい。

A.渡辺氏:各省の連携がどうなっているか、ということだと思う。各取り組みの提案が戦略の中に盛り込まれていく。国交省環境省が連携して地域共同も進めることが必要。そのためにはいろんな施策と繋がることである。災害が多発していることを受けて、防災減災しながら自然のあり方も考えていかなければならないなど、分野間の連携は必要。一つの指標で測れないのが生物多様性。次期国家戦略では様々な指標を検討している。環境省のほか農林水産省、文部科学省など、本当にたくさんの省庁が施策を生物多様性という観点から行なっている。

Q.外来種、農地害獣被害、担い手不足など農村地域では生物多様性保全と同様にも問題が挙げられると思うが、その点では里地里山をどのように利用、管理して生物多様性保全に活かしていくのか具体策、事例があれば教えていただきたい。太陽光発電建設に利用されることもあるのか?

A.渡辺氏:「シマフクロウが住める世界を創る北海道」は非常に面白いキャッチフレーズ。それを目指していく上で 北海道ならではの土地利用を大きく考えていくのが重要なのかなと思う。最近帯広のカシワの森を見る機会があった。帯広の市街地を囲む形で帯広の森というのが50年前に市民参加で作られたので、その一角はより本来のカシワの森に近づけるための努力がされている。都市公園区域になっているが市民活動で価値を回復させている。
気候変動への対応は喫緊の課題であり、国でも色々な動きが始まっていて、それを受けて北海道でもあらゆる取り組みが進められているが、その地域で取得に脱炭素を目指していろんな気候変動対策を実施していくための促進区域に関する話も進んでいる。
ソーラーの開発が広がっている現場も何度か訪れたことがあるが、生物多様性の保全と再生可能エネルギーの拡充推進とどう両立させるか、本当に真剣に考えていかないといけない。両立が大事と口で言うのは簡単だが一つずつの現場で両立させることはとっても重要かつ難しい課題。

Q.湿地保全について。道内では、国立公園内の湿地やラムサール条約登録湿地と、それ以外の湿地との間で、実態把握や保護の到達点に大きな落差が生じており、この落差を埋めることは生物多様性保全戦略で重要なアプローチではないかと考えております。せっかくの機会ですので、橋本さん、渡辺さんのお考えを伺いたいです。

A.橋本氏:こうした小さな湿地で活動されている保全等はOECMの候補になっていくと思う。その他の保護区をOECMでつないでいくのも取り組みとして良いと思う。※OECM(Other Effective area-based Conservation Measures):自然共生エリアと訳される

渡辺氏:ラムサールかどうか、大きさに関わらず再生保全の質を高めていくことが理想。OECMに認定され、保全を応援する形になっていくことで湿地のネットワークがより強いものになる。北海道全体の湿地の生態系の質が全体として高められるようになるための北海道の保全計画であってほしいと思う。

etc…(2021年12月27日更新。整理後、質疑応答部分を更新いたします)

次回ダイアログについて

次回は、「環境保全はなぜ難しいのか」をテーマに開催いたします。参加申し込みページはこちらをご覧ください。https://epohok.jp/event/14540

[日時] 2022年2月16日(水)16:00~17:30

[開催方法] オンライン(Zoomを使用)

[ゲスト] 宮内 泰介氏(北海道大学)

関連するイベントのお知らせ

今後、次のイベントが予定されています。ぜひご参加ください!

〇さっぽろヒグマフォーラム2022(2022年2月26日(土)開催(オンライン)、申込方法等は札幌市HP等で案内予定。札幌市環境局環境都市推進部環境共生担当課主催