平成29年度ユネスコスクール活動調査の結果
ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)では、文部科学省から委託を受け、 ユネスコスクールとESD(持続可能な開発のための教育)の推進を目的とし て、ユネスコスクール活動調査を毎年行っています。このたび、平成29年度 の調査結果を取りまとめましたので公表します。
<主な調査結果>
1.SDGs(国連持続可能な開発目標)の認知度が6割を超える。 回答者(教員)の63%が、SDGsの内容について知っていると答えた。
2.SDGsの17の目標達成に向けた学校の取組が進んでいる。
全体の8割以上の学校が、以下の5つの目標に向けて「活動している」又は 「取り組む意思がある」と答えた。
目標3(健康と福祉)、
目標4(教育)、
目標7(エネルギー)、
目標10(不平等の是正)、
目標16(平和)
3.ユネスコスクールに加盟し、ESDを実践したことによる効果が、多くの学校で生まれている。
児童生徒の変化
- 地域の環境に意識や関心が高まった
- 活動に積極的に参加するようになった
- ボランティア活動に参加する生徒が増えた
- 国際理解や伝統文化への認識が深まった
- 課題解決学習に取り組むようになった
- 学習に取り組む意欲が向上した
- 地域への愛着や誇りに思う気持ちが育った
教師の変化
- ESDの視点を教育活動に取り入れるようになった
- 総合的な学習の中でESDを意識するようになった
- 教科の教育の中でESDの視点を意識した授業を工夫するようになった
- 地域連携の能力がついた
- 児童が意欲を持ち積極的・主体的に取り組む指導をするようになった
カリキュラム・教授法の変化
- 総合的な学習の時間を中心に、教科横断型の学習を進めている
- 年間の計画を立て、ESDカレンダーを作成した
- 地域を教材にしたカリキュラムや地域の人材を活用した授業
- 教師主導から生徒主体の課題解決型に変化した
※自由記述回答における語の出現回数と語と語のつながり(共起関係)をKhcoderによって抽出し分析した結果、多数の回答があったものの一部を抜粋したもの。
<今後の主な課題>
1.ユネスコスクール間の学校間交流の実績が十分でない。
他のユネスコスクールと交流した学校は全体の41%、海外のユネスコスク ールに限定した場合は24%に留まっている。ユネスコスクールには世界的 な学校間ネットワークを活用した交流が推奨されているが、ここ3年間の交 流実績は横ばいのままである。
2.活動に対するモニタリング・評価を行っている学校が少ない。
自校のユネスコスクールの活動に対してモニタリング・評価を受けていない と答えた学校が全体の71%を占めている。
調査の概要
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)が文部科学省の受託調査として平成 29年12月~平成30年1月に実施。調査内容は平成29年度の学校の取組(平成29年4 月~平成30年3月)。国内の全てのユネスコスクールに対してウェブ回答による回答協力 依頼し、765校(回答率約74%)から回答を得た。
調査の詳細は以下別紙のとおり。
ユネスコスクールとは
ユネスコの理想を実現するため、平和や国際的な 連携を実践する学校であり、ユネスコが認定する学 校。 現在、世界180以上の国・地域で11,000校以 上、日本国内で1,033校が認定(平成30年6月)。 文部科学省では、ユネスコスクールをESDの推進 拠点と位置付け、加盟校増加に取り組むとともに、 世界的な学校間ネットワークを活かした交流、好事 例の共有、教員の知見の共有など、活動の質の向 上を推進しています。
ESDとは
(ESD=Education for Sustainable Development) 持続可能な社会づくりの担い手を育むための教育。 国際理解、環境、人権・平和等、様々な学習テーマ を「持続可能な社会の構築」の観点でつなげて総合 的に学ぶことで、持続可能な社会づくりに必要な価 値観や行動等の変容をもたらします。 ESDはUNESCO(国連教育科学文化機関)が中心 となり、世界中で取り組まれています。愛称は「今日 よりいいアースへの学び」です。
新学習指導要領とESD
2016年12月に発表された中央教育審議会の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学 校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」には、「持続可能な開発のための教育(ESD)は次 期学習指導要領改訂の全体において基盤となる理念である」とあります。答申に基づき策定され、 2017年3 月に公示された小・中学校学習指導要領、2018年3月の高等学校学習指導要領では、全体の内容に係る 前文及び総則において、「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられており、各教科においても、関連する 内容が盛り込まれています。
(調査実施元)
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU) 〒162-8484 東京都新宿区袋町6(日本出版会館内) TEL:03-3269-4559 FAX:03-3269-4510 E-mail:webmaster@accu.or.jp ユネスコスクール公式ウェブサイト http://www.unesco-school.mext.go.jp/ ※10月1日から以下に移転 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-32 出版クラブビル7階 TEL:03-5577-2852 FAX:03-5577-2854