海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策手引きの改定について
環境省は、平成28年に策定した「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き」について、その後の知見の蓄積やバードストライクの発生状況の変化等を踏まえ、「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改定版)」をまとめました。
改定版では、海ワシ類のバードストライクの発生メカニズムを要因ごとに整理し、餌場などの集結地やバードストライクが発生しやすい地形への考慮、繁殖地で配慮すべき距離など、事業者が取り組むべき具体的な内容を明らかにしました。
改定版では、海ワシ類のバードストライクの発生メカニズムを要因ごとに整理し、餌場などの集結地やバードストライクが発生しやすい地形への考慮、繁殖地で配慮すべき距離など、事業者が取り組むべき具体的な内容を明らかにしました。
■ 改定の背景と概要
「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、風力発電施設も含めた再生可能エネルギーの導入を促進するには、地域と共生する形での適地の確保に取り組むことが必要であり、風力発電施設におけるバードストライク対策は生物多様性保全の観点から重要な課題の1つとなっています。
特に北海道では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により希少野生動植物種に指定され保護増殖事業が行われている海ワシ類(オジロワシ及びオオワシ)のバードストライクが課題です。
環境省では、平成28年(2016年)に海ワシ類のバードストライク対策のため、「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き」を作成しました。この手引き作成から6年が経過し、バードストライクの発生メカニズムや防止策等に関する様々な知見が蓄積されてきたこと、設置数が増加している小型風力発電施設でのバードストライクが確認され始めていること、海ワシ類の生息する北海道等において今後も風力発電施設の立地が進むことが想定されることなど、作成当時から状況が変化してきています。
今後、風力発電施設の円滑な設置のためにも、より効果的なバードストライク対策を進めていくことが必要であり、その後に得られた最新の知見を活用して「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改定版)」をまとめました。今回の改定では、有識者から成る「海ワシ類バードストライク防止策検討会」(*)での検討を経て取りまとめました。改定の主なポイントは以下のとおりです。
特に北海道では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により希少野生動植物種に指定され保護増殖事業が行われている海ワシ類(オジロワシ及びオオワシ)のバードストライクが課題です。
環境省では、平成28年(2016年)に海ワシ類のバードストライク対策のため、「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き」を作成しました。この手引き作成から6年が経過し、バードストライクの発生メカニズムや防止策等に関する様々な知見が蓄積されてきたこと、設置数が増加している小型風力発電施設でのバードストライクが確認され始めていること、海ワシ類の生息する北海道等において今後も風力発電施設の立地が進むことが想定されることなど、作成当時から状況が変化してきています。
今後、風力発電施設の円滑な設置のためにも、より効果的なバードストライク対策を進めていくことが必要であり、その後に得られた最新の知見を活用して「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改定版)」をまとめました。今回の改定では、有識者から成る「海ワシ類バードストライク防止策検討会」(*)での検討を経て取りまとめました。改定の主なポイントは以下のとおりです。
(改定の主なポイント)
1.餌場など海ワシ類の集結地でのバードストライクの発生メカニズムの整理
漁港や河川などの海ワシ類の集結地、海岸崖近辺での採餌行動及び繁殖など、バードストライクが発生する要因をイラストなどで整理し、立地を検討するためのポイントを分かりやすく解説した(参考1を参照)。
2.バードストライクが発生しやすい地形の類型化・模式化
北海道内の風力発電施設が立地している海岸から近い急斜地の海岸崖でバードストライクが発生していることを明らかにした上で、リスクが高い場所をイメージ図で示し、計画の早い段階で設置場所の配慮ができるようにした(参考2を参照)。
3.営巣地等からの離隔距離の明記
営巣地を中心とした行動圏への配慮として、バードストライク防止と繁殖阻害の低減の2つの観点から、営巣中心域内(目安:巣を中心に半径1km)での配置を原則避けること。高利用域内(目安:巣を中心に半径2km)は、採餌場とその往復ルートへの影響及び衝突確率の上昇等を回避する観点から飛翔頻度等のデータを解析し、有識者の意見を踏まえ慎重に立地の検討をすること等を提示した。
4.センシティビティマップの活用方法を記載
鳥類のバードストライク発生や渡りのルート等へ悪影響が予想される区域をあらかじめ把握することが重要であり、そうした情報を整理したセンシティビティマップ(陸域版:平成29(2017)年度、海域版:令和元(2019)年度に公開)を活用する方法について提示した。
5.事後調査の方法
バードストライクの実態を把握する死骸調査の頻度等について記載した。さらに、稼働後に繁殖状況や行動圏調査を行い、順応的な対策を行う必要があることを提示した。特に死骸調査による実態把握は効果的なバードストライク対策のための重要な基礎データとなるため、最低月3回、場所や状況に応じて追加で1回の計4回の頻度で、体制を整えて継続的に調査することを明記した。
*海ワシ類バードストライク防止策検討会
(委員)
浦 達也 日本野鳥の会 自然保護室 主任研究員
河口 洋一 徳島大学 准教授
齊藤 慶輔 猛禽類医学研究所 代表
関島 恒夫 新潟大学 教授
見上 伸 一般社団法人 日本風力発電協会 理事
由井 正敏 岩手県立大学 名誉教授
(参考1)海ワシ類のバードストライク発生要因のイメージ図
(参考2)海岸崖(地形類型区分1)の模式図及びイメージ図
海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引きHP
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
- 代表 03-3581-3351
- 直通 03-5521-8282
- 課長 中澤 圭一 (内線 6460)
- 課長補佐 守分 紀子 (内線 6465)
- 係長 福田 真 (内線 6670)
- 専門員 池田 厚志 (内線 6466)