行政(環境省)の環境情報

阿寒摩周国立公園(釧路市、弟子屈町、美幌町、足寄町)のゼロカーボンパークの登録について

環境省では、国立公園の脱炭素化に向けて、令和3年3月から、「ゼロカーボンパーク」の取組を進めています。
この度、令和4年3月に登録した阿寒摩周国立公園の北海道釧路市に加え、弟子屈町、美幌町、足寄町が新たにゼロカーボンパークに登録され、全国で初めて複数自治体の連携によるゼロカーボンパークとなりましたので、お知らせします。
 阿寒摩周国立公園では、ゼロカーボンパークとして、自然環境に配慮した脱炭素の取組、エリア全体の脱炭素化を進める取組、サステナブルな観光地づくり、国立公園利用者への普及啓発などに各自治体が連携して取り組んでいくこととしています。
 釧路自然環境事務所では、これらのゼロカーボンパークの取組を支援してまいります。

1.概要

 阿寒摩周国立公園は、北海道東側の中央に位置し、火山活動により形成されたカルデラ湖とその周辺にはエゾマツ、トドマツを中心とする原生林をはじめ、北海道を代表する森林が広がっている国立公園です。
 世界で唯一大型球状マリモが群生する阿寒湖、透明度世界一を記録した摩周湖、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖、5色に変化する神秘的なオンネトーなど特徴的な湖があり、今なお活動を続ける火山の噴気や豊富な温泉など地球のエネルギーをダイナミックに感じることができます。
 釧路市、弟子屈町、美幌町、足寄町はそれぞれゼロカーボンシティを宣言し、脱炭素化やプラスチックゴミの削減に積極的に取り組んでいるところです。令和4年3月18日付けで阿寒摩周国立公園内の阿寒湖温泉(釧路市)を全国で4番目となるゼロカーボンパークとして登録し、取り組みを推進してきましたが、この度、弟子屈町、美幌町、足寄町を追加で登録しました。

2.阿寒摩周国立公園ゼロカーボンパークの取組の概要

(1)トレイルネットワーク及びゼロカーボン観光の推進
 ・阿寒摩周国立公園では国立公園満喫プロジェクトの取組として、ひがし北海道3空港を結ぶ「阿寒摩周国立公園ト 
  レイルネットワーク」の構築を推進
 ・E-bikeの活用も含め、ゼロカーボンの移動手段によるトレイル活用を推進
 ・宿泊施設の業務用車両、公用車のEV化、EV車両充電スタンドの増設等による、国立公園内のモビリティの脱炭素
  化を推進

(2)国立公園利用施設等における再生可能エネルギーの活用及びRE100対応
 ・宿泊施設及び各自治体の公共施設において、従来から温泉熱、地中熱、バイオマス、太陽光発電等の再生可能エネ
  ルギーを活用したCO2排出削減の取り組みを推進
 ・今後も新たな施設の建設や改修にあわせて積極的に再生可能エネルギーを活用
 ・環境省の直轄施設をはじめ、主な国立公園利用施設について、再生可能エネルギー由来の電力調達に切り替えるこ
  となどにより、2025年までにRE100の実現を目指す

  <主な国立公園利用施設の例>
  ・阿寒湖畔エコミュージアムセンター(環境省)
  ・川湯ビジターセンター(環境省)
  ・和琴フィールドハウス(環境省)
  ・釧路市阿寒湖まりむ館(釧路市)
  ・摩周湖レストハウス(弟子屈町)
  ・硫黄山レストハウス(弟子屈町)
  ・美幌峠レストハウス(美幌町)
  ・オンネトー野営場休憩舎(足寄町)

(3)地域産材の活用とカーボンオフセットの取組
 ・足寄町、美幌町では、北海道森林バイオマス吸収量活用促進協議会においてカーボンオフセットクレジットに取り
  組み、適切な森林整備や管理をすることで企業活動により排出されたCO2の吸収を促進
 ・足寄町では、公共施設に地域材を活用した木造建築を積極的に推進
 ・美幌町では、「びほろ企業の森林づくり」事業に取り組み、多くの企業が参加する植樹活動等を推進

(4)地域のおいしい水のPRによるペットボトルごみ削減等
 ・国立公園内の主な利用施設や公共施設等において、阿寒山系のおいしい水道水である「くしろ阿寒百年水」(釧路
  市)など、それぞれの地域のおいしい水が給水できるスポットを設け、マイボトルの利用のよるペットボトルごみ
  の削減を推進
 ・また、各施設ではプラスチック製品の提供を控え、マイバッグの活用を促すことでプラスチックゴミの削減を図る

(5)世界基準の持続可能な観光地づくり
 ・弟子屈町では、弟子屈町観光振興計画において、世界の持続可能な観光地を選出する「Green Destinations
  TOP100」への登録を目指すこととしており、世界基準が備わった持続可能な観光地として国内外に発信していく

(6)主な国立公園利用拠点等における普及啓発
 ・脱炭素化、プラスチックゴミ削減の取組について、主な国立公園利用施設及び周辺の公共施設等において、利用者
  への普及啓発に努める
 ・そのほか、SNS、イベント等を活用した広報、企業との連携による普及啓発を実施

(参考)
○ゼロカーボンパークとは
 ゼロカーボンパークとは、国立公園における電気自動車等の活用、国立公園に立地する利用施設における再生可能エネルギーの活用、地産地消等の取組を進めることで、国立公園の脱炭素化を目指すとともに、脱プラスチックも含めてサステナブルな観光地づくりを実現していくエリアです。
 国立公園をカーボンニュートラルのショーケースとし、訪れる国内外の人たち脱炭素型の持続可能なライフスタイルを体験していただく場作りを目指しています。これまでに中部山岳国立公園の乗鞍高原エリア(長野県松本市)、伊勢志摩国立公園の三重県志摩市、日光国立公園の塩原温泉・板室温泉地区(栃木県那須塩原市)、妙高戸隠連山国立公園の新潟県妙高市、支笏洞爺国立公園の支笏湖(北海道千歳市)、尾瀬国立公園の尾瀬かたしなエリア(群馬県片品村)がゼロカーボンパークとして登録されています。

 環境省HP:https://www.env.go.jp/nature/post_134.html

○支援の枠組み
 環境省では、ゼロカーボンパークの実現に向けて、ゼロカーボンシティ支援に活用しているエネルギー対策特別会計予算及び自然公園等整備費等の既存予算をパッケージとして支援する他、釧路自然環境事務所が各自治体と連携をとりながら伴走支援を行うこととしています。

お問い合わせ先

環境省北海道地方環境事務所釧路自然環境事務所
阿寒摩周国立公園管理事務所長:笹渕紘平
電話番号:015-483-2335