海洋プラスチックごみ削減のためのOECDとの共同ワークショップの結果について
OECD(経済協力開発機構)と環境省は、令和2年6月11日(木)~12日(金)に、ワークショップ「海洋プラスチックごみの削減:現状の政策の集約と長期的目標への道筋の開拓」を共催しました。
1.背景・目的
令和元年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、日本は2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案し、これが首脳間で共有されました。
今回のワークショップは、国際・国内・地域レベルの海洋プラスチックごみ問題に対処するための政策の集約、教訓の提示及び長期目標、特に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の達成に向けた複数のシナリオの議論を目的として開催されました。
2.日時と場所
令和2年6月11日(木)・12日(金)20時~23時(日本時間)
ウェブ開催
3.主催
OECD(経済協力開発機構)・環境省
4.プログラム
<1日目>
(1)開会の挨拶
GurríaOECD事務総長と小泉環境大臣からビデオメッセージが寄せられました。ビデオメッセージはオンライン上に公開されています。以下のURLから御参照ください。
https://oe.cd/mpl-workshop
(2)基調講演
世界のプラスチックごみの海洋流出量の推計で知られる、ジョージア大学のジャンベック教授(Dr. Jenna Jambeck)が基調講演を行いました。
(3)国内・国際の政策
OECDや国連環境計画(UNEP)、各国政府から国内・国際の政策的取組が紹介されました。環境省からは海洋プラスチック汚染対策室長がパネルディスカッションに参加しました。
<2日目>
(4)長期目標に関連した専門家によるプレゼンテーション
参加者は大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの達成に必要な長期的な政策シナリオについても議論しました。民間団体の専門家によるプレゼンテーションの後、それぞれのトピックについて議論がなされました。環境省からは、小野水・大気環境局長が司会として参加しました。この分野では既に興味深い分析が多少なされていますが、本ワークショップを通じて、海洋プラスチックごみの将来予測や、考え得る長期的な政策シナリオ、海洋プラスチックごみゼロの達成に必要な関連資金について、更なる取組が必要であることが示されました。
5.主な成果
①NGOや産業界からの参加者を含め、多くの参加者が大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの支持を表明しました。
②デザインから清掃までプラスチック製品のバリューチェーン全ての段階に対処する一連の政策を含め、包括的なライフサイクルアプローチの必要性が明らかになりました。
③マイクロプラスチック(マイクロビーズ、紡織繊維、タイヤ粉塵等)もプラスチックの重要な流出源であり、食物連鎖に入り込む可能性についてとりわけの懸念が示され、一連の政策が必要とされました。
④更なる作業が必要な以下の分野の特定又は提案がされました。
・全体として、対策のフォローアップと強化、科学的知見の創出と共有、革新的な解決策や国際協力、マルチステークホルダーの参画の促進、全てのステークホルダーと市民の関心向上の取組継続等が重要です。
・現在、海洋中の(マクロ及びミクロの)プラスチックの量を測定し監視するための標準化された手法は存在しません。モニタリング手法の調和は、研究結果のより良い比較と監視を可能にするために必要です。日本は最近モニタリング手法調和ガイドラインを発行するなど、より統一のとれた監視の取組のための基盤を提供することに寄与しています。
・研究により、海洋ごみの流出と経済影響について、より良い知見を提供する必要があります。
・政策研究は、各国が異なる問題を抱えていることに注目し、特に途上国における効果的な政策介入の特定に貢献しなければなりません。
・OECDや他の機関による、マクロ経済分析のようなモデリングとシナリオ分析の継続的な取組は、効果的な政策シナリオの特定や、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンのような中期的、長期的目標の達成に向けた具体的な行動の発展に貢献することができます。
連絡先
環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室
- 代表 03-3581-3351
- 直通 03-6205-4934
- 室長 中島 慶次(内線 6602)
- 室長補佐 安陪 達哉(内線 6634)
- 室長補佐 迫口 貞充