【開催報告】令和元年度 学校教育におけるESD推進学習会~SDGsを用いた主体的・対話的で深い学び~
北海道地方ESD活動支援センターでは、ESD推進をテーマにした講演、SDGsをツールとしたESDの授業実践事例発表を行い、実践者間の情報共有・意見交換の場づくりを行いました。簡単ではありますが、内容について報告します。
開催概要
[日 時]2019年12月8日(日)14:00~17:00
[場 所]札幌エルプラザ公共4施設 2階 会議室1・2(札幌市北区北8条西3丁目)
[対象者]SDGs・ESDに関わる取り組みを行う中学校・高等学校の先生方等
[参加者数]29人
[内 容]
・講演
「SDGs時代におけるESDの推進」
日本ESD学会副会長 手島 利夫 先生
・授業実践事例発表(順不同)
山口 千恵子 先生(市立札幌大通高等学校 教諭)
川崎 淳一 先生 (札幌新陽高等学校 教諭)
畑野 好美 先生 (北海道滝川西高等学校 教諭)
小島 陽子 先生 (寿都町立寿都中学校 教頭)
小川 昌子 先生 (藤女子中学校・高等学校 教諭)
千葉 健二 先生 (市立札幌藻岩高等学校 教諭)
市川 栄作 先生 (学校法人海星学院 海星学院高等学校 教諭)
・意見交換「主体的・対話的で深い学びに向けて」
助言:日本ESD学会副会長 手島 利夫 先生
[主 催]北海道地方ESD活動支援センター
[共 催]札幌市
[後 援]文部科学省ユネスコ国内委員会、北海道教育委員会、札幌市教委員会
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講演:「SDGs時代におけるESDの推進」
日本ESD学会副会長 手島 利夫 先生
2100年までの気温変化予測をみたときに、目の前にいる子ども達は将来生活ができないと思いESDに取り組むことを決めた手島先生。「社会状況が急激に変わる中、ものごとの正解もどんどん変わっていく。そしてこの時に求められる人間像も大きく変化している。」とワークショップ等で参加者同士の交流を交えながらお話を初めてくださいました。
「私たち教師は教育をどのように変えていくべきか。新しい学習指導要領の前文には個人の成長に加え、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越える等の社会人としての対応と持続可能な社会の創り手の育成が求められている。『持続可能な社会の創り手』はESDそのものであり、次期学習指導要領の基本理念となった。」と日本の教育の変化について、さらに「具体的には、課題解決に必要な思考力、判断力、表現力を身につけ、豊かな心や創造性、健康で安全な生活を送るための『生きる力を育む』こと。その実現には教育課程の編成において、『教科横断的に学ぶ(カリキュラム・マネジメント)』、授業では『主体的・対話的で深い学び』が求められる。」と学習指導要領を紐解きながら紹介いただきました。
「教科をつなげることで良かった。深い学びにつながったという先生をたくさんみてきた。カリキュラム・マネジメントは、一度にすべてはできないので毎年実践しながら変えていくことが大切。主体的・対話的な学びにつなげるには、問題解決的な学習過程を重視して、その中に、対話的な協働場面を位置付けること。生徒の学びにどのように火をつけるかが教師の腕のみせどころである。」と具体的な授業例を交えながら教育課程、授業づくりにおけるESDをお話いただきました。
手島先生のESDについてもっと知りたいという方は下記ウェブサイトをご参照ください。
授業実践事例発表&意見交換「主体的・対話的で深い学びに向けて」
道央圏の中学校・高校の7名の先生を前半4人、後半3人と分けそれぞれからSDGsを活用した授業実践について発表いただきました。発表では、異文化理解、生物基礎、総合的な探求の時間、道徳、国語、保健などの科目の中で授業を進めていくにあたって、SDGsと授業の関連、主体的・対話的で深い学びの工夫点や課題についてお話いただきました。発表後、参加者は自身が気になる先生の近くに集まって、質疑応答や意見交換をしました。
全体をとおして参加者から「先生方の工夫点や新しい視点などを聞くことができパワーをもらうことができた。」「学校関係者以外の方もいたのでいろいろな視点をいただけた」等の感想をいただきました。
手島先生より「中学校・高校のESDやSDGsは進みにくいという思っていたが、今日の先生方の発表や全国の事例をみて変化を実感することができた。いろいろな方とつながることで勇気を得ることができる。教育の充実に向けた北海道の取り組みに期待したい」と講評をいただきました。
自分が学校を卒業してしまうと、なかなか関りが少なくなってしまう学校。SDGsというキーワードをとおして先生方、授業とSDGsの関連、ESDの推進についてお話できたことに感謝です。ご講演いただいた手島先生、ご発表いただいた先生方、ご参加いただいた皆さん、誠にありがとうございました!(大崎)