北海道地方ESD活動支援センター

【開催報告】夏の合宿セミナー2019

 北海道地方ESD活動支援センターでは、北海道開発教育ネットワーク(D-net)さんが毎年行われている夏の合宿セミナーに共催させていただきました!開発教育プログラムを実践と意見交換を行うまさに「合宿」の中に、北海道地方ESD活動支援センターは、2030年の北海道を考えるワークショップを担当させていただきました。

 

開催概要

[日 時]2019年7月26日(金)13:00~27日(土)11:30
[会 場]定山渓ホテル(札幌市)
[参加者]25名
[プログラム]
<1日目-7月26日(金)>
・2030年のほっかいどうを考えるワークショップ
 ファシリテーター:大崎 美佳(北海道地方ESD活動支援センター)

・開発教育ワークショップ①
 ファシリテーター:佐久間 みのり氏(札幌市立伏見小学校)

・開発教育ワークショップ②
 ファシリテーター:森川 裕子氏(札幌市立川北小学校)

・本日の振り返りと開発教育に関わる意見交換

<2日目-7月27日(土)>
・開発教育ワークショップ③
 ファシリテーター:堀 幸美氏(千歳市立北栄小学校)

※すべてのワークショップにおいて、大津和子先生(北海道教育大学名誉教授)による振り返りが行われました。

[主 催]北海道開発教育ネットワーク(D-net)、北海道地方ESD活動支援センター


 北海道地方ESD活動支援センターよりSDGsの達成年である2030年の理想な北海道について3つの視点「増やしたいもの・こと」「変わらないもの・こと」「減らしたいもの・こと」から考えるグループワークを行いました。

 どの視点においても「子ども」という言葉が多く出てきました。「つながる」北海道全体のテーマを書いたときに「つながる」ということがでてきたのも、2018年に他のグループと行ったときの違いでした。

2030年のほっかいどうを考えるワークショップ まとめ(PDF)

 また、2018年のほっかいどうを考える Youth’s Meetingに参加いただいた當山真貴子さん(支笏洞爺国立公園管理事務所 自然保護官補佐)より、将来を考えることで仕事仲間が同じ方向を向くことができ、今年度の事業に活かすことができたとワークショップの展開事例について紹介いただきました。

なお、昨年のユースの様子はこちらからご覧いただけます。

2030年のほっかいどうを考える Youth’s Meeting(2018.10開催) 

 D-netさんでは、2018年から3年間、JICA北海道の「JICA NGO等提案型プログラム」事業に採択され、「SDGs達成に向けたESDの授業実践力向上プロジェクト」に取り組んでいます。これは先生方がSDGsの目標に基づいて実際にインドやラオス等の開発途上国に訪問し、そこでの体験等をもとに開発教育教材を作成、授業実践をとおして教材の改善を重ね教材完成を目指しているものです。

 今回は、2018年にインドに訪問した3名の先生方による授業実践と、参加者間の教材の改善に向けた意見交換が行われました。

 佐久間先生は小学校6年生の総合的な学習の時間で行う単元名「いいね!ん?どうなってるの?インドから始まる私のSDGs」を実践していただきました。モノや写真、ゲーム等をとおして、インドの文化や生活について日本と比べながら学んでいく内容でした。さらに格差の問題にも気づくような仕掛けもありました。

例えば左の写真。一見すごろくに見えるのですが、ヘビやはしご、色がキーなのです。ある色はヘビに飲まれる確率が高い(前に進みにくい)、ある色ははしごを登れる確率が高い(前に進みやすい)という形で、たまたま手に取った色によって運が決まるしかけです。

これはインドにおけるカースト制度のことを表していました。ここからさらに日本における不平等についての話題へつながっていきました。

 

 森川先生は、小学校5年生の道徳・学級活動で行う単元名「発見!ナマステ インド!」を実践いただきました。

 買い物シュミレーションをとおしてインドの方の生活や食文化について知り、自らの生活環境の状態を見直すきっかけとなる内容でした。そこでは、食べたいものを作るためにお金が足りない、、、と思いきや他のグループ(家族)は買えている!という状況で、明らかな差がわかるようになっていました。それにとどまらず、十分な食料が買えないままだと栄養状態が不十分であることもグラフと共に表示されました。

 最後の実践であった堀先生は中学校3年生の社会で行う単元名「Let’s meet friends in INDIA~プロジェクトを作ろう~」を実践していただきました。

 インドについての理解を深めるだけではなく、課題解決のプロジェクトづくりをとおして持続可能な社会の担い手として意識を持ってもらうことがねらいとされていました。

 具体的にインドの中学生から夢や家族のことが書かれた手紙や写真をもらい、そこに書かれてある課題を見極め、解決のために用意された支援カード(奨学金の贈呈、井戸の建設等)の優先順位が高いもの2つを選ぶ内容でした。その後、なぜその支援を選んだのかについて他のグループへ発表や意見交換を行いました。

 

 どの授業実践も参加型が基本で、興味関心を引く工夫がたくさんありました。夢中になって授業を受けている自分がいるほど、インドのことや様々な課題について考えることができました。

 どの教材にも共通していたことは「具体性」「共感を持つ」「気づかせる仕掛け」でした。登場人物の名前、顔写真、生活環境の写真等があることでより身近に感じ、その人や状況に共感しやすくなりました。共感があることで遊びながらも格差等の課題に気がつき、自分は何ができるのだろうという自ら考え行動するきっかけにもつながっていきました。

 学校は、教育関係者にならない限り、卒業してしまうと中には入れないもの。子ども達の成長を最優先に考えて授業をつくってくださる先生方にただただ感謝でした。教育関係者以外の方にもこの場を体験し、情報交換ができるような場づくりを北海道地方ESD活動支援センターとして行っていきたいと思いました。ありがとうございました。(大崎)