行政(環境省)の環境情報

令和2年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査の結果(確報値)について

環境省は、家庭部門の詳細なCO2排出実態等を把握し、地球温暖化対策の企画・立案に資する基礎資料を得ることを目的に、平成29年度から「家庭部門のCO2排出実態統計調査」を本格調査として実施しています。今般、令和2年度家庭部門のCO2排出実態統計調査の結果を取りまとめました。

世帯当たりの年間CO2排出量は、2.88 t-CO2であり、前年度から5.9%増加しました。この要因を分析すると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による増加等が挙げられる一方で、省エネの進展等による減少もあったと試算されました。

この調査結果について、地方公共団体、大学を始め様々な主体に活用いただくことを期待しています。あわせて、環境省では、この調査を継続するとともに、対策強化の検討など、調査結果の更なる活用を進めていきます。

1.主な結果(世帯当たり年間CO排出量のエネルギー種別構成比及びその推移)

 世帯当たりの年間 CO排出量は2.88 t-COであり、電気の使用によるCO排出量がエネルギー種別で最大の65.3%を占めています(図1参照)。

図1 世帯当たり年間エネルギー種別CO排出量・構成比

(注)調査の対象期間は令和2年4月~令和3年3月の1年間

 調査を開始した平成29年度からの経年変化を見ると、令和2年度の世帯当たり年間CO排出量は平成29年度比で0.32 t-CO2/世帯・年減少し、令和元年度比では0.16 t-CO2/世帯・年増加しました(図2参照)。

図2 世帯当たり年間エネルギー種別CO排出量の推移

2.分析例(参考)

 令和元年度と比べて令和2年度の年間CO2排出量が増加した要因を分析すると、電気のCO2排出係数の改善による「CO排出原単位要因」で0.01 t-CO2/世帯・年減少、令和2年度の冬季の気温が低かったことによる「気候要因」で0.04 t-CO2/世帯・年増加、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う生活の変化による「特殊要因」で0.18 t-CO2/世帯・年増加、省エネの進展や世帯構成等属性の変化による「トレンド要因」で0.05 t-CO2/世帯・年減少と試算されました(図3参照)。

※分析方法の詳細は、添付資料(家庭部門のCO2排出実態統計調査における主要項目の経年比較及びCO2排出量の変化要因分析(参考資料))を御参照ください。

図3 世帯当たり年間CO2排出量の変化要因

3.調査の趣旨について

 我が国においては、国連気候変動枠組条約に基づき、温室効果ガスの排出・吸収量目録(以下「インベントリ」という。)の提出とともに、インベントリの精緻化が求められているところです。また、地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)においては、2050年カーボンニュートラルの実現とともに、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていくこととされており、家庭部門においても効果的な削減対策の実施が喫緊の課題となっています。

 このような背景を踏まえ、本調査は、家庭部門の詳細なCO2排出実態等を把握し、地球温暖化対策の企画・立案に資する基礎資料を得ることを目的としています。

 なお、本調査は、統計法に基づく、一般統計調査として実施しました。平成26年10月から平成27年9月には試験調査を実施し、平成29年度から本格調査を行っています。

※過去の調査結果:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/kateiCO2tokei.html

4.調査の特長について

 従来の調査・統計においては、家庭におけるCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因(居住人数や住宅の建て方、保有する機器等)が別々に把握されていました。

 本調査により、家庭からのCO2排出量やエネルギー消費量の把握に加え、世帯のCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因や冷房・暖房の設定温度、省エネ行動の実施状況等を一体的に把握することで、家庭におけるCO2の排出実態を精緻に把握することが可能になります。

5.今後の活用について

 本調査については、継続して調査を実施することでデータを蓄積し、以下のような活用を検討しています。

 ・「COOL CHOICE」をはじめとする家庭部門の地球温暖化対策の企画・立案

 ・ 我が国の温室効果ガス排出量の算定方法及び増減要因分析の精緻化

 また、統計法第33条第1項の規定に基づき、地方公共団体、大学等に対して、調査対象の秘密の保護を図った上で、調査票情報の提供が可能です。

6.調査の概要について

(1)調査の名称:家庭部門のCO2排出実態統計調査

(2)調査方法:住民基本台帳からの無作為抽出と、インターネット調査モニターからの選定(有意抽出)の2つの方法によって調査対象世帯を選定

(3)調査対象:全国10地方の店舗等併用住宅以外の住宅に住む主世帯

(4)調査対象期間:令和2年4月~令和3年3月

(5)調査世帯数:13,000世帯

(6)集計世帯数:10,015世帯(有効回答率77.0 %

(7)調査・推計事項:次に掲げる事項等を調査(CO排出量については調査により得られた結果等を利用して推計)

① 月別のCO排出量を推計するためのエネルギー使用量等について(電気、ガス、灯油、ガソリン、軽油)

② 太陽光発電について(月別の発電量、売電量、太陽電池の総容量)

③ 設備・機器について(HEMS の有無、家庭用蓄電システムの有無、家庭用コージェネレーションシステムの有無・売電契約有無)

④ 世帯について(世帯員、平日昼間の在宅者、世帯年収)

⑤ 住宅について(建て方、建築時期、所有関係、延床面積、居室数、二重サッシ・複層ガラスの窓の有無)

⑥ 家電製品等について(テレビ・冷蔵庫・エアコン等の使用状況、家電製品に関する省エネ行動、使用場所ごとの照明種類、照明に関する省エネ行動)

⑦ 給湯について(給湯器の種類、冬と夏の入浴状況、入浴やお湯の使用に関わる省エネ行動)

⑧ コンロ・調理について(コンロの種類、用意する食事の数、調理に関する省エネ行動)

⑨ 車両について(自動車等の使用状況、燃料の種類、排気量、実燃費、使用頻度、年間走行距離、自動車に関する省エネ行動)

⑩ 暖房機器について(保有状況、使用状況)

⑪ 省エネルギー行動の実施理由

7.速報値との差異について

 速報値※1では、電気のCO2排出係数を前年度(平成31年度(令和元年度))値としておりましたが、確報値では、当該年度(令和2年度)の電気の CO排出係数を適用しました。

 確報値については、政府統計の総合窓口(e-Stat)に統計表を公表しました。

※1 速報値は令和3年10月28日に公表
  https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/kateiCO2tokei.html

 また、平成29年度~平成31年度(令和元年度)調査結果については、オーダーメード集計※2が利用可能であり、令和2年度調査結果も今後オーダーメード集計を利用可能とする予定です。

※2 オーダーメード集計:学術研究の発展に資すると認められる場合等において、既存の統計調査で得られた調査票データを活用して、調査実施機関等が申出者からの委託を受けて、そのオーダーに基づいた新たな統計を集計・作成し、提供するもの。

添付資料

連絡先

環境省地球環境局総務課脱炭素社会移行推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8244
  • 室長坂口 芳輝(内線 5730)
  • 室長補佐畠山 寛希(内線 5731)
  • 係長林 徹(内線 5733)
  • 担当山﨑 智也(内線 5737)
  • 担当権田 優(内線 5738)

 

引用:https://www.env.go.jp/press/110829.html