行政(環境省)の環境情報

イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標の策定について

環境省では、「イヌワシ保護増殖事業計画」に基づき、イヌワシの生息地の拡大・改善につながる取組が全国各地で行われることを促すため、「イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標」を策定しましたので、お知らせします。
 これは、国内のイヌワシの生息地の状況を評価し、国内でイヌワシが安定して生息するために必要となるつがい数の推計を行った上で、全国の目標つがい数及び目標繁殖成功率を示し、生息環境改善促進候補地を抽出したものです。

1.背景

 「イヌワシ保護増殖事業計画」(平成8年、環境省・農林水産省)では、「イヌワシが自然状態で安定的に存続できる状態になること」を目標として掲げています。

 しかし、近年、餌動物や狩場の減少等により、イヌワシの個体数の減少や繁殖成功率の低下が確認されており、さらなる生息状況の悪化が懸念されています。

 このため、今後、イヌワシの生息地の拡大・改善につながる取組が全国各地で行われることを促すため、国内のイヌワシの生息地の状況を評価しつつ、国内でイヌワシが安定して生息するために必要となるつがい数の推計を行い、これらの結果を踏まえて「イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標」を策定しました。

2.全体目標の検討

 この全体目標は、生息適地モデルを用いた生息適地評価と、個体群存続可能性分析(PVA)の2つの解析結果を基に、「国内のイヌワシ生息数の目標検討ワーキンググループ」での議論を踏まえ、令和2年度イヌワシ保護増殖検討会において議論し、その後調整を重ねて今般決定しました。

<令和2年度イヌワシ保護増殖検討会>

検討委員(五十音順、敬称略、役職は当時)

井上 剛彦  極東イヌワシ・クマタカ研究グループ代表

小澤 俊樹  日本イヌワシ研究会前会長

小松 守   秋田市大森山動物園園長

山﨑 亨   アジア猛禽類ネットワーク会長

由井 正敏  東北鳥類研究所所長

<国内のイヌワシ生息数の目標検討ワーキンググループ>(平成30~令和元年度)

検討委員(五十音順、敬称略、役職は当時)

赤坂 卓美  帯広畜産大学環境農学部助教

小澤 俊樹  日本イヌワシ研究会会長

関島 恒夫  新潟大学農学部教授

前田 琢   岩手県環境保健研究センター上席専門研究員

山﨑 亨   アジア猛禽類ネットワーク会長

3.全体目標の概要

 全国の目標として、つがい数と繁殖成功率を設定し、それを基に、地域ブロックごとの目標を設定しました。

つがい数
  • 日本イヌワシ研究会(2017)により2015年に全国で確認された174つがいと、生息が強く推定された32つがいを足した数である206つがいを全国の目標つがい数とした
  • 全国目標のつがい数を地域ブロックごとに割り振り、地域ブロックごとの目標つがい数を決定した。地域ブロックごとの目標つがい数については、生息域を地域ブロックで明確に区別できない点を考慮し、5つがい単位で設定した。(そのため地域ブロックの目標つがい数の総和は206にならない)
  • 過去に繁殖が確認されている北海道と、近年つがいの生息がほとんど確認されていない四国地方・九州地方についても目標つがい数を検討したが、生息情報等に基づく算出が難しいこともあり、若干数とした。
繁殖成功率
  • 個体群存続可能性分析(PVA)により、全国のイヌワシ個体群(目標つがい数、206つがい)が安定的に維持されることが確認された繁殖成功率である36.17%を、全国の目標繁殖成功率とした
  • 地域ブロックごとの繁殖成功率については、全国の目標繁殖成功率と2000年以降の地域ごとの最大繁殖成功率を基に設定した。地域性等から全国平均の目標値の達成が難しい地域については、生息適地解析の結果を用い、生息確率が高いと評価されたメッシュ数が多い地域に比例配分し、全国平均の目標値を維持した。
  • 北海道、四国地方、九州地方については、目標つがい数が若干数であることから目標値を設定しなかった。

 また、全体目標達成に向けた取組を効果的に進めるためのツールとして、生息環境改善促進候補地を抽出しました。

 今後、目標つがい数・繁殖成功率の達成に向け、生息環境改善促進候補地を参考にしつつ、現地の状況や過去の生息状況などと照らし、地域ごと・つがいごとの詳細なデータを得ながら必要な対策を検討し、採餌環境の改善等の取組を促進していくことが重要です。環境省としては、引き続き、各地における採餌環境の改善の取組を促進するとともに、この全体目標が森林管理や各種開発事業、地域づくり等に幅広く活用されることを期待しています。

添付資料

連絡先

環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8353
  • 室長山本 麻衣(内線 6677)
  • 専門官岩谷 あゆみ(内線 6684)
  • 担当川瀨 翼(内線 6671)

 

引用: