第19回日中韓三ヵ国環境大臣会合(TEMM19)の結果について
会合では、三カ国の国内環境政策の進捗状況の紹介及びそれらに基づく意見交換を行うとともに、ヒアリ等を始めとした侵略的外来種、海洋ごみ、大気汚染、SDGs(持続可能な開発目標)について率直な意見交換を行い、共同コミュニケを採択しました。また、日中及び日韓の二国間の環境大臣会談が開催され、環境協力の一層の促進に向けた議論が、それぞれ行われました。
1. 日程
平成29年8月24日(木)~8月25日(金)
2. 開催場所
韓国・水原市 Ramada Plaza Suwon
3. 主な出席者
日本 中川 雅治環境大臣
中国 李 幹傑(リ・カンケツ) 環境保護部長
韓国 金 恩京(キム・ウンギョン) 環境部長官
4. 日中韓三カ国環境大臣会合の概要
各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題の紹介及びそれらに基づく意見交換を行うとともに、昨年採択された行動計画に基づき、各分野の活動の進展及び今後も協調的な取組を継続・拡大することを確認しました。
共同コミュニケの主な内容は以下のとおり。
(1)日中韓における環境政策の進展
・三大臣は、TEMM18以降の各国における主要な環境政策の最近の進展について意見交換を行った。三大臣は、これらの環境政策が北東アジアの持続可能な開発に貢献し、地域及び地球規模の環境問題を解決する基盤となるという認識を共有し歓迎した。
(2)地球規模及び地域の環境問題に対処するための主要な政策
・三大臣は、持続可能な開発目標(SDGs)達成のために、三カ国が持続可能な開発に係るハイレベル政策フォーラムの自主的な国家レビューに積極的に参加する確約を表明したことを歓迎し、持続可能な開発のための2030アジェンダ達成に向けた国際的な取組を促すよう三カ国が協力すべきであることを認識した。
(3)環境協力に係る三カ国共同行動計画(2015-2019)の進捗のレビュー
・三大臣は、「環境協力に係る三カ国共同行動計画」の進展をレビューし、共同プロジェクトの進展を確認し、三カ国の協調的取り組みを継続していくことを決意。
(4)優先分野における環境協力
I. 大気環境改善
・三大臣は、地域の大気環境改善のため、現在進められている大気汚染に関する三カ国政策対話(TPDAP)を含めた三カ国の協調的活動による顕著な役割を認識した。そして、三大臣は、特にTPDAPの傘下で、優れた政策的取組や優良事例及び学術研究結果を交換することを通じて、地域の大気汚染管理のための三カ国間協力を推進することを再確認した。
II. 生物多様性
・三大臣は、外来種対策が東アジアにおいて喫緊の課題であるとの認識を共有し、既存の場である日中韓生物多様性政策対話を利用し、各国の外来種の現状、対策、効果及びそこから得た外来種対策のベストプラクティスの共有を進めることを確認した。
III. 化学物質管理と環境に係る緊急時対応
・三大臣は、化学物質管理に係る最新の国内政策の交換や国際動向を含め、第10回日中韓における化学物質管理に関する政策ダイアローグの成果を確認した。三大臣は、化学物質管理分野における三カ国の活動を強化するであろう2019年までの化学物質管理に関する三カ国活動計画の採択を歓迎し、同計画の成功裏の実施を奨励した。
・三大臣は、水俣条約が発効したことを歓迎した。
IV. 資源循環利用/3R/電気電子機器廃棄物の越境移動
・三大臣は、北東アジアにおいて、持続可能な生産と消費を推進し、循環経済/循環型社会への移行を追求することは、世界レベルでの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に大きく貢献するとの認識を共有した。
V. 気候変動対応
・三大臣は、地域レベル及び世界レベルで、気候変動について協調的に対応することが喫緊に必要であることを認識し、そのための協力を強化するという確約を再確認した。
VI. 水・海洋環境の保全
・三大臣は、第2回海洋ごみに関するTEMM-NOWPAP合同ワークショップにおいて、三カ国の海洋ごみ調査の結果と関連政策が共有されたことを歓迎した。三大臣は、TEMMの枠組みの下で合同ワークショップや事務レベル会合を通じて、海洋ごみに関する各国の政策や関連研究成果の情報交換を加速することを決定した。三大臣は、海洋ごみの効率的かつ効果的な解決策を模索するために、2017年に日本で第3回合同ワークショップが開催されることを確認した。
VII. 環境教育、人々の意識向上と企業の社会的責任(CSR)
・三大臣は、17回日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)シンポジウム及び第16回三カ国環境研修の成果を歓迎。今後、三カ国環境ビジネス円卓会議(TREB)で環境CSRへの協力を進めることに合意した。
VIII. 地方環境管理
・三大臣は、地方の環境の質を改善することの重要性を認識し、日本の地域創生モデル地域、韓国のエコエネルギータウン、中国のエコヴィレッジ等の現在実施されている三カ国の国内取組に着目した。三大臣は、第2回地方環境管理に関する三カ国政策対話が2017年後半に日本で開催されることを歓迎した。
IX. グリーン経済への移行
・三大臣は、持続可能な開発のための2030アジェンダの重要性を認識し、環境側面からのSDGs達成のための三カ国共同研究を立ち上げることに合意した。
(5)次回の開催
・次回のTEMM20は、中国で開催することを決定。
(6)その他
・日中韓の環境協力に係る功労者の表彰が行われ、日本からは岡山大学名誉教授・吉川賢氏が受賞した。このほか、サイドイベントとして、ユースフォーラム及び三カ国環境ビジネス円卓会議が開催された。
5.日中及び日韓環境大臣バイ会談の概要
(1)日中環境大臣バイ会談
・中川大臣から、大気汚染、廃棄物及びヒアリ対策について各分野における環境協力の進展について議論を行った。
・PM2.5をはじめとする大気汚染問題は、両国の自治体で協力を進める日中都市間連携協力等を通じて、モデル技術の導入や共同研究等による協力関係を強化することを確認した。また、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)を通じて、両国の酸性雨対策の経験の普及を新たに図っていくことを確認した。
・続いて、中国で施行開始した廃棄物の輸入規制においては、透明性の高い運用に向け、両国の廃棄物輸出入に関する取組の情報共有を行うことを確認した。
・ヒアリ対策については、中国から出港したコンテナに由来する場合が多いことを中国側に伝達し、適切な取組を要請した。今後、ヒアリを含む外来種対策の具体的な協力について、事務レベルで検討することに合意した。
(2)日韓環境大臣バイ会談
・中川大臣から、気候変動、海洋ごみのポリタンク問題及びヒアリ対策の課題について取り上げ、各分野における環境協力の進展について議論を行った。
・今年度の日韓の政策対話で気候変動問題を取り上げ、気候変動の国内対策の実務レベルでの情報共有を促進することで合意した。
・海洋ごみについては、日本に漂着する廃ポリタンクの流出に対し、関係機関と連携して徹底した取組を依頼した。
・また、ヒアリ対策を含む外来種対策は、日中韓生物多様性政策対話を通じて、現状や取組を含むべストプラクティスについての情報共有を促進することに合意した。
添付資料
・別添資料1-1 共同コミュニケ(英語)
・別添資料1-2 共同コミュニケ(仮訳)
・別添資料2 TEMM19の成果
【参考】日中韓三カ国環境大臣会合
日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM= Tripartite Environment Ministers Meeting)は、北東アジアの中核である日本・中国・韓国の三カ国の環境大臣が一堂に会し、本地域及び地球規模の環境問題に関する対話を行い、協力関係を強化することを目的に、1999年(平成11年)から毎年各国持ち回りで開催しています。これまでのコミュニケ等については、以下のウェブサイトを御参照ください。
・TEMM公式ウェブサイトhttp://www.temm.org/
・日本語解説サイト http://www.env.go.jp/earth/coop/temm/introduction_j.html
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局国際連携課国際協力室
(代表)03-3581-3351
(直通)03-5521-8248
室長 杉本 留三(6765)
補佐 高橋雄一郎(6764)
係長 大越 貴陽(6761)
引用:http://www.env.go.jp/press/104439.html