政策コミュニケーション

札幌市エネルギービジョン(案)パブリックコメントWS 開催速報

  7月1日(火)に開催されたパブリックコメント・ワークショップには、26人の方がご参加いただきました。誠にありがとうございました。こちらは「札幌市エネルギービジョン(案)」に対する模造紙への書き込みや、コメントのあった意見の一覧です。ページ番号は「札幌市エネルギービジョン(案)概要版」に対応しています。また「○」は「その意見が最も重要だと考えた参加者がいた」ことを示すものになっています。主に書き込みから起こしたものであるため、一部、解釈が難しい内容や作業上の不備もあると思いますが、皆さんがパブリックコメントに取り組む参考になれば幸いです。

  なお、このページ最下段に、パブリックコメント・ワークショップの実施ガイドラインを掲載しました。こちらも合わせてご参考ください。「札幌市エネルギービジョン(案)」パブリックコメントWS 開催概要はこちら
  http://epohok.jp/katsudou/epo_activity_info/collaborative_effort/policy_communication/289

「札幌市エネルギービジョン(案)」パブリックコメントについてはこちら
  http://www.city.sapporo.jp/energy/vision/public_comment.html

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第1章 基本的事項
●1ページ
・「1.1 ビジョン策定の背景・必要性」のまとめに、「脱原発社会を目指した」とあるが、その理由も含めてもっと記すべき
・上記の箇所について、如何にそれをクリアしていくか、対価(経済リスク)に言及が必要ではないか
・上記の箇所について、3ページ「2.6エネルギーに対する市民意識」では市民の8割が「不要」もしくは「縮小」と回答しているとのことだが、実態はどうなのか。電力会社の株主総会や、経産省、省エネ庁の討論型世論調査、ミニ・パブリックスにおいては基本的推進の立場ではないか
○「1.4 対象とするエネルギー」について「運輸利用」は対象としていない(温暖化対策実行計画の対象とする)とのことだが、運輸を含めた総使用量の削減が必要であり、公共交通(トラム等)を充実させてエネルギー消費量を減らす、自動車優先をやめるといった施策が有効。そのためには、温暖化対策実行計画とエネルギービジョンを有機的につなげて考える必要があるのではないか

第2章 札幌市におけるエネルギーの現状と取組の方向性
●2ページ
・全般について「エネルギーに関する教育・学習」「エネルギーに関する協働の取り組み」等について触れたほうがいいのではないか
・「図2-1 熱利用エネルギーの部門別内訳」について、微増傾向についての要因分析を示すべき。だれがどれだけ出しているかがわからないと、具体的な対策の対象がわからない
・人口や世帯数の推移のエネルギー使用量への影響はあるのか
・「民生家庭」における内訳は分かったが、同程度の消費水準がある「民生業務」の消費電力等の内訳がわからない。また、「民生業務」の消費電力等をモニタリングすることは可能か
○「図2-4 家庭におけるエネルギー消費量の内訳比較」で「暖房の消費量は他都市の5倍」とあるが、エネルギーの問題なのか。市民にできることがあるのではないか
○上記の箇所について、市全体の問題か個人の問題かということではなく、区や街区など、若干小さいコミュニティ、エリアのビジョン、住民のライフスタイルと連動させて考えることが必要ではないか。その意味でもリーディングプロジェクトの生かし方が重要だと考えられる

●3ページ
・「民生家庭」「民生業務」の増加傾向について、アンケート調査の結果と行動の実態は一致しているのか
・北海道でも(部屋の温度を)20度未満に設定するという目標が立てられているあ、実態は24~25度ではないか
・札幌市のエネルギー自給率はどれくらいの割合か
・「2.2 再生可能エネルギー」に関して、太陽光発電の普及拡大について触れているが、札幌の日照時間を考えると懸念も感じられる
○「2.6 エネルギーに対する市民意識」について年代別の意識格差はあるのか。高齢社会や社会の縮小が進む中で、どのようにエネルギーが消費されているのか、シミュレーションをすることは非常に重要。同じ世帯人数でも、家庭や地域によって消費量はまったく異なるが、各自それが当たり前だと思っている。他者の暮らしと比較することで、エネルギー消費について意識するようにもなる

第3章 目指す姿
●4ページ
○「具体的な将来像」の「ライフスタイル」について。主婦は社会からも距離があり、環境について学ぶ機会も少ない。市民の意識は重要だが、札幌市という大きな枠組みで動いても他人事としか感じられないのが実際である。自分事とするためには、町内会や町内会や社会人の集まりなど、小さい集まりへのアプローチからスタートし、札幌市全体で取り組む必要があるのではないか。海外のそうした事例も参考になると思う
・エネルギーパス(燃費のものさし)制度を札幌市に導入する
・民間の事業者から、エネルギーチェンジ事業を進めていく。
○すべてのエネルギー技術が変わっていきやすくする。札幌市が研究都市となり、新しい技術を発信してほしい。また、防災・減災の観点からいえば、昔からの室(むろ)にしても現代の断熱技術にしても、生き延びるために有効なものであるそうした観点も必要なのではないか
○民間の事業者において、イノベーションが生まれやすいしくみが必要
○低炭素社会の実現、温暖化対策の推進のためには、企業において、技術的な専門家の育成が必要。エネルギー関連の事業や製品に関する既存の技術ではなく、排熱構造等に詳しく、省エネルギーを進めて熱利用エネルギーや電力の需要の最大値、最小値をシミュレートし、インフラ構築、検証、実現をできるような人材
・このエネルギービジョン(案)でも「新しい設備を増やす」ことに力点が置かれているが、必要なエネルギーとのバランスを考えずに投資すると、莫大なエネルギーロスが生じ、投資コストが無駄になるおそれもある
○そうならないためにも補助金、公共助成の組み方に工夫が必要。現在の「設備等を導入(購入/買い替え)する」補助では、本当の意味での省エネを推進できない。「施設や設備等の使い方を効率化する」インセンティブ(動機付け、誘因)となるような補助、助成が必要である

●5ページ
・数値目標に根拠はあるのか。区や街区等のビジョンとの整合性はあるのか
○「なりゆきシナリオ」に対する施策の上積みがどれだけあるのか。冷蔵庫の買い替えなど、施策を打たなくても省エネが進む部分があり、それを区分、考慮した目標値がみたい
・「4-1 熱利用エネルギーの目標数値」の家庭の住環境整備について、新築が増えるという想定は可能なのか。省エネを考慮した改築やリノベーションによる社会資産化に係る数値を目標として設定することも可能ではないか
・上記における「家庭の省エネ行動」について、平成34年度は「全世帯の30%が実施」、平成42年度は「全世帯の50%が実施」となっている。調査項目の設計にも寄ると思うが、もう少し高い目標設定ができるのではないか
・行政が中心になって動かないと行動しない道民感覚を前提としているのか。背中を押すのは行政が行い、市民が自主的に動く方向性がなければ、ビジョンもただの紙に過ぎないのではないか

●6ページ
・目標設定全般について、札幌市全体で考えるのは難しい
○「(2)再生可能エネルギー発電量」について、戸建住宅は平成34年度に平成22年度基準値から44倍、集合住宅50倍の目標値を設定しており、すばらしい目標であるが、実現性はあるのか。(現在、実質的にはゼロになっているが)原子力による電力を代替することを前提として、逆算ではじき出した数値なのではないか。一人当たりの発電量として考えるなど、原単位を示してほしい
○上記に関連して、具体的にはどのような施策で担保されるのか根拠を示すべき(そんなに太陽光発電を導入できる市民がいるのか)。経済的な裏付けが必要。札幌市として覚悟はあるのか
・上記に関連して、経済中心で考えるか、防災・減災の観点から生き延びるために分散させることを考えるかで施策の打ち方も異なる
○「戸建住宅」ベースで目標を設定するのは有効なのか。たとえば先行して、集住やコンパクトシティ化へのインセンティブを働かせる施策が必要なのではないか
・「4.3 エネルギー転換による将来の電源内訳」について、「送電網などの整備が必要」とあり、実現できるとよいが、仕組みを変えるのは大変であり、戦略的に動く必要がある

第5章 目標達成に向けた取組
●7ページ
・個人レベルでの取り組みの色合いが強すぎないか。個人-地域-札幌市全体という面的な考え方、まちづくりの視野も取り入れてはどうか
・導入コスト、ランニングコストも計算に入っているのか。高コストなまちづくりで、まちは成長するのか
○市民の自発性をどう高めるのか。上からの活動では定着しない
・蓄電などの周辺施設や技術は視野に入っているのか
・老人世帯や生活保護世帯のエネルギー費用の削減につながる施策を(例えば、LED電球への変更推進等)
・MSオーナーが省エネ研修に率先して取り組み、入居者にも市政にも貢献できる制度の設計を。そのためにはオーナーが取り組みたいと思うインセンティブ、応援が必要
・既存の施策の延長ではない、新規の「目玉」となる施策はなにか
・「市民や事業者の行動」はどのような施策で担保されるのか。現在の延長の「啓発」では無理ではないか

●8ページ
・全般に関して「市民力の結集」とはなにを意味しているのか。基本的意識の改革か
・事業者の行動に関して、再生可能エネルギー及び分散電源の両者について、電力会社はそのように動こうとする意識はないと考える(株主総会の状況より)
・「取組4」の「札幌市の行動」では「環境産業の振興と技術開発を推進する」とあるが、具体的にはどのようなことを行うのか関心がある
・「取組3」「取組4」の「事業者の行動」について、単発・短期的な印象を受ける。エネルギーに関係のある教育・学習(理科・ICT・キャリア教育等)との関連があってもよいのではないか。たとえば、事業者のCSR活動として、現場の人材育成につながる学校教育の支援を行うなど

第6章 リーディングプロジェクト
●9ページ
・当たり前のことを当たり前に実行することが重要
・「市民向け省エネ推進事業」について、継続的な拡大に向けた契約方式の検討が必要ではないか(価格による一般競争入札ではうまくいなかいと思われる)
・「太陽光発電普及促進プロジェクト」について、コスト的にペイするのか。先に動き出した人たちが損をしないようにすることが必要
・「新さっぽろ地区における低炭素型まちづくりの推進」について、集中投資して、早期に成果が見える化したほうがよい。革新的効果が見えないとモデルにならない

第7章 推進体制、進行管理
●9ページ
・市役所はどんな施策を考えているのか。言いっぱなしでは効果が低い
○本編54ページに普及啓発事業があり、連携したあとの取組は第6章にあるが、NPOの役割を含め、よくわからない。そもそも第6章にはNPO、エネルギー、事業者の記述がなく、唐突な感じがする。第6章までにも、協働の取組の記述が必要ではないか
○社会変動、技術革新が急速に進むことが考えられ、自然変化への対応ではなく、イノベーションを起こしていくような取り組みが求められるのではないか。本編にある通り、「追加施策の検討・実施」を縮小する財政の中で柔軟に行うには、多様なセクターの参画による進行管理が必要ではないか
○市民の思いと行動のパラドックスをどのように解決するのか。いきなり、エネルギーをどうするのかを考えるというより、まちづくりについて話し合い、そのツールとしてエネルギーをどう使うかを考えるという組み立てなのではないか
○推進体制が、市役所内部の「お手盛り」感がある。テーマを考慮すると、高度な市民参加による評価や改善提案の仕組みが必要なのではないか

以 上  

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