政策コミュニケーション

【開催報告】「生物多様性さっぽろビジョン(案)」パブコメ・ワークショップ(札幌 2013/1/29)

 1月29日(火)18時30分から20時50分まで白熱した、「生物多様性さっぽろビジョン(案)」パブコメ・ワークショップの開催報告です。多様な参加者15人が参加し、さまざまな価値観を確認しあい、充実した時間を過ごすことができました。参加者の皆さま、ワークショップのスタイルのひな形をつくっていただいた共催のNECO塾、急なお願いにもかかわらずご協力くださった札幌市及び札幌市環境プラザ(指定管理者:財団法人札幌市青少年女性活動協会)の皆さま、誠にありがとうございました。

 生物多様性や札幌市のビジョンに対してだけではなく、環境政策コミュニケーションやパブリックコメントについてもいろいろな知見が深められたこの企画。1月31日(木)締切のパブリックコメントにご参加いただけるよう、ビジョンの概要版のページごとに参加者の皆さんから挙げられた意見を掲載します。 今回のワークショップは、会場で何か合意形成を図ったものではありません。また文脈から切り離されているため、明確に意味を把握できないものもあるかと思いますが、その旨、ご了承いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

☆イベントの詳細はこちらをご覧ください
 https://enavi-hokkaido.net/event/event_id/8252/

 

参加者の意見

※以下はビジョンの概要版のページに対応しています

■ 全体

・「実際にどうすればいいか」という具体的目標はビジョンの中で示すべきではないでしょうか。できればだれが行っていくのかという部分まで
・「生物多様性」という言葉に馴染みがない人にとっては、パブリックコメントが「生物多様性」のことを考えるきっかけになってよいと思う
・「生物多様性」が馴染みがないといっても、すでに取り組みはあるし、かかわりはある。成功事例やどういう行動が生物多様性とつながっているのがを示すことが重要 ・表紙に「人類存亡の危機」とあるにもかかわらず、緊張感のあまりない内容でギャップがある。これでいいのか

■1ページ

・生物多様性は「感じること」、「感情的な要素」が大きい。そこへのアプローチが必要
・生きものマニアにしか受け入れられないロジックになりがち。人の暮らしにも大きく影響することをもっとアピールしたらよい
・ひとつの種を守るという時代ではない。生態系が大事で、生態系を守ろうという意識を促すビジョンであってほしい。生態系は私たちが生活していくすべての基盤である
・農業や林業などの産業、人間の経済行為とのかかわりに触れていない。産業界の具体的なアクションが読み取りづらい
・上記に賛同
・環境部局や札幌市だけで考えるのではなく、国土交通省や開発局、他の地域とのつながり、連携協働することが重要だと思う
・市役所のいろいろな部局では「生物多様性」について知らなかったり、その視点や考え方から自分たちの施策をふりかえってみたことはないと思う。「温暖化」がひとつのものさしとして認知されたように「生物多様性」も認知されるように努めてほしい
・「生態系サービス」のサービスという言葉は生物を語るのにそぐわない。市民から拒否感を持たれるのでは
・「北海道遺産・サケの文化」とあるが、「・(なかぐろ)」は並列構造を示すので「にも選ばれている」としてはどうか 

■2ページ

・ビジョン案は協働で作成されたものなのか
・「指針」ですから、これ以降に具体的な施策が作られるのですよね
・「理念」に「北の生き物と人が輝くまち」とあるが、ぜひ輝くまちの話をきかせてほしい
・「都市が世界の生物多様性に与えている影響を認識」とあるが、都市の営みは生物多様性にネガティブなだけではなく、人と自然の関わりの中で重要な側面、貴重な側面もあるのではないか
・「環境基本計画の個別計画としても位置づけられます」とあるが、「環境基本計画の上に位置するもの」だと考える
・愛知目標はすでに多くが遅れているが、札幌はそれに同調するのか
・本編では、他の計画等との関係性も明示されている。特に「まちづくり戦略ビジョン」と「生物多様性さっぽろビジョン」の整合をとっていくことが重要だと考える
 

■3ページ

・地図をみると、左下の「山地ゾーン」から右上に「山麓ゾーン」「市街地ゾーン」「低地ゾーン」に移行していっているのが視覚的にわかっておもしろい
・調査を行い、それをマップ化するのはとても重要だと思う。「生物多様性」に取り組んだ成果をそれによって知ることができる
・マップ化する際には、参加のしかけを考えることが大切
・年齢によって活動範囲が代わり、「身近な自然」というときの「身近な」も変わる。主観的でもいいので、狭い範囲でもハートで感じられるような効果があればいい
・マップづくりはただすればいいというのではなく、利用の方法も含めて考えて進めてほしい
 

■4ページ

・地図の中にも代表的な地名を目安として入れたほうが、やはり読む人の実感が生まれやすいと思います
 

■5ページ

・「カムバックサーモン運動」がもたらした弊害(遺伝子かく乱)は問題視されるはず。入れないほうがいい
・上記に賛成
・関連して、自然サケが産卵しないように川底に網をはっている(豊平川)
・「カムバックサーモン運動」みたいなことで復活したようなこともあるので、こんなのもあっていいのでは
・外来種を減らす方策はないのですか
・(外来種駆除について)最後までキチンと駆除しないで、予算が予算がと言い、途中で手を引くので中途半端
・農業等の遺伝子の多様性保全にがんばってください
 

■6ページ

・北海道、札幌の地域特性もあるものの「里山」「里川」「管理放棄地」などの記述がないのは若干違和感がなくもない
・人手が入らず成長した二次林はおもに放置林。課題として次のページに欠かれているもののそのことをはっきりと記載しては
・豊平川はいつも工事中でかわいそうになります
 

■7ページ

・なぜ環境問題といえばシロクマがアイコンになるのか。そしてシロクマ=円山動物園という図式は安易すぎないか
・札幌において円山動物園は生物多様性については学ぶサイトとして重要だが、上記の意見もそうだなと思う
・北極のシロクマをなぜ守ろうとしないのか
・「保全技術の知見」とあるがどのようなものがあるのか
・科学的な「保全技術の知見」は紹介できないくらい数知れずある。科学的な知見と社会的な知見、政策的な知見を結びつけていく方法や人がいないのが現代の大きな課題だと感じている
・生物多様性の認知度を上げるためには何がありますか
・「緊密な連携を図っていく」とあるが、どのようなことか?
・連携とは具体的な方策は?
 

■8ページ

・「生息」「棲息」という言葉は、どんなときにどちらを使うのか。定義があるのかな。この差がよくわからない人にヒントをください(URLなど)
・他分野の計画などでは専門用語が脚注や巻末用語集で説明されている計画もある
・「生物多様性さっぽろビジョン」も本編に用語集がある
・概要版を見る人は本編を読まないから概要版を見ているのでは
・規制内容を知らせる努力はしているのか
・規制内容を知らせる努力はしているが、まだ足らない。それはネガティブな意味だけではなく、天然記念物であるという貴重さを知らせることでもある
・表で「自然環境」と「社会環境」がくっきり分離されているが、つながるところ、重なるところがあるのではないか
・課題になると急に「動物」に偏ってしまい「植物」が語られていないように思うけど
 

■9ページ

・「3つの目標」とあるが、これは方針、行動指針にあたるものでは?目標というのであれば定量的、定性的な指標が必要なのではないか
・「3つの目標」とはだれが目標意識を持つのか
・この目標を具体的に与えられる市民(コミュニティとか)がはじめてアクションを起こし、具現化できる
・「先人から」という言葉があるがアイヌ民族について触れていない
・アイヌ民族について触れた方がよいと思う
・上記に賛同
・基本認識のリード文について、1文が長くなるほど、人は読んでくれないので、2文に区切っては。例えば「~あります。そして札幌市では~」
 

■10ページ

・川も河畔林も消されている。自然のまま残されていない
・現実的には石狩低地帯の湿原は守られてはおらず、NPOが保全に活動している
・地理上、変化のない川に、どのように「つなぐ」イメージを持たせるのか
・札幌市の生物多様性を語る上で「豊平川」も欠かせない。具体的な記載があったほうが、生物多様性を身近に考えることができるのではないか
・どのゾーンにも五感を感じる必要がある

■11ページ

・「4つの施策の柱」が各ゾーンにどう影響するの?
・環境教育、学校での教育を早く推し進めるべき
・コミュニティ単位で考えるようなものへ
・地域連携は?
・使われるデータづくりを科学者との連携で
・「継承する」の「生物・生育環境の保全と拡大」に「天然記念物の保全」とあるが、天然記念物だけを守ってどうするのか。虫から小鳥、それから大きな動物と自然環境を守っていかなくてはどうにもならないのでは
・「活用する」に挙げられている「小中学生向けのエコライフレポート」はチェックリストのようなもの。具体的にどのような問いになるのか。安易なチェックリストで生物多様性に貢献していると勘違いするようなものにならないか
・「協働する」「活用する」施策を通じ、自然再生等による多様性回復の努力の成果を協働しながら競ってみては。各ゾーンの里親制度(アダプト・システム)などの活用によって
・施策の達成度合いをはかる指標は
 

■12ページ

・「ビジョン」と「理念」はどう使いわけていますか。「北の生き物と人が輝くまち さっぽろ」はビジョンとも言えるのでは?
・理解してもらう対象(子ども、大人、高齢者)を具体的に
・唱えるだけで具体策は?
・目標とあるが、達成の標(しるべ)はなに?
・行為(手法)を「施策の柱」としていることは興味深い
・一方で分野、ゾーンごとの指標設定はしないでいいのか?
 

■13ページ

・「シンボル的な保全活動」とはどのような活動をイメージしているのか
・子どもだけに環境教育してもダメ。大人になって実行できなければ意味はない。農業、林業、経済界の意識改革を!
・実はロードマップの設定が、ビジョン達成に向けた目標を示すものになっているのではないか
 

■14ページ

・各部局ってどれくらいこれを知っているの?
・努力目標で強制力がないと評価できない
・行政側の強制力がない
・行政のどこが何をするのか具体性はない
・札幌は都市。原生的な自然の再生よりも、消費社会の変革でこそ貢献できるかも!都市ならではの貢献の方向性として「ライフスタイルの見直し」の観点は非常に重要
・「市民」部門の役割(取り組み)と実際の理解には距離がありそうです
・伝統的な遊び方を子どもたちによく伝えてください
 

■15ページ

・予算はどのくらい?
・現在の進捗状況は?
・目標の2050年は先が遠すぎる気がしますが
・ホームページでの取り組み状況公表は○。環境白書は紙の削減を配慮しながらつくってくださいね
・短期目標を各ゾーンの中で定め、具体的に任された「有志」や「子どもたち」などがどこまで実現できるのか確認し合う
・上記に賛同
・概要版だけではパーセンテージの意味がつかみとれない
 

 以上