対話の場づくりと協働

生活協同組合コープさっぽろ

選定理由:

環境保全活動を組合員をはじめとしたパートナーシップで進めている。また、食品の安心・安全を追求するために、生産者と消費者の距離を縮めることで、双方に環境保全の大切さを訴える活動をしていることを評価した。

● 生産者と消費者の距離をより近づけるために
 コープさっぽろでは「食の安全・安心」を重要視し、北海道の食文化を守り、発展させ、産直や地産地消を拡充していくことを目指している。そのためにはこれまで遠かった生産者と消費者の距離を、お互いに顔の見える関係に近づけることと、協働によって「元気な北海道づくり」を行っていくことが重要と考えている。そこで、2003年11月、消費者が応援したい農業・漁業を選ぶ賞である「コープさっぽろ農業賞」を制定した。この賞では明確な基準はないが、大小に関わらず提案力や農業などへの想いなどを見て、応援したいというものを選定している。平成18年度は農業分野で112件、漁業分野で16件、合計128件の応募があった。事務局での書類審査により20件程度に絞り、審査委員によりさらに10件をピックアップして、そのすべてを現地視察し、生産者の想いを聞き判断している。


● 組合員が自主的に行うコラボレーションを前提とした植林活動

 同組合では、組合員による自主的な植樹活動を奨励している。森林の再生もさることながら、森林と海洋の関係は資源循環の考え方から密接に関係しているものであり、森を通じて海を守ることを目的として取り組んでいる。本部としては特に資金的な援助はしていないが、組合員が自主的に漁業組合と連携し、協働で植樹活動に取り組んでいる。その活動は、留萌、増毛、野付、上磯などの漁協と連携しているほか、森林組合との植樹活動では留萌や富良野の組合員が参加、また、当別の道民の森コラボプロジェクトにも参加し、600本の植樹を行っている。

●本業と購買者を通じた環境保全活動
 同組合では、環境に配慮した商品の開発と普及にも力を入れている。常に本業を通じて環境保全を行うことが大切と考えており、流通業という生産と消費の現場を仲立ちする立場において、環境配慮商品を前面に出して販売することで、メーカーと消費者の両方に環境配慮型の生産消費活動を促している。また、本業を通じた環境CSR活動でなければ、省資源、高効率という作業効率重視型の経営に発展しないと考えている。なお、ヒアリングをした2月時点で、2006年度の日本生活協同組合連合会(生協連)の環境配慮商品の普及拡大目標(2005年度上位20品目の供給を105%伸張)を既に110%でクリアしているとのことである。
 トレーサビリティーの視点を環境目標に加えている点にも注目した。商品の流通には、とにかく安心・安全が重要な条件となる。これらが守られなければ、例えば大量廃棄や各種汚染などにつながり環境保全は有り得ないと考えており、本年度の環境目標に衛生管理の目標を置いている。


● 組織のために働く一人ひとりが環境マネジメントに取り組むという視点

 同組合では、組織の中にCSR室を設け、CSR活動に対して意識して取り組んでいる。コープさっぽろに関わらず、生協は出資者が利用者であり、組合員の満足度に重点が置かれなければならない。ひとつの例として、同組合ではISO14001を主要な営業所などで取得し、環境目標を達成するため活動をしているが、全職員に対して、環境目標を納得し徹底させるために「ISO14001ハンドブック」を提供し、従業員教育にも役立てている。ハンドブックは入れ替わりの多いアルバイトにも提供しているため、既に2万部を超える部数を発行している。

● 本業を通じて北海道全体の持続可能性を追求していく
 以上のように、本報告書としては生産者と消費者をつなぐ役割、パートナーシップを前提とした環境保全活動に力を入れることで、単なる組織のとしての価値だけではなく、北海道全体の持続可能性を考えている点を評価した。第一次産業を取り巻く状況は依然厳しい状況であるが、同組合の活動を通じて「北海道が元気になるような」CSR活動が普及していくことに期待したい。

企業データ

所在地 札幌市西区発寒11条5丁目10番1号

連絡先 tel 011-330-2700

CSR・環境報告書の発行 有

CSR担当部局 有

URL http://www.coop-sapporo.or.jp

*北海道内におけるCSRに基づく社会貢献・環境保全活動 意向・現況調査報告書 
 (環境省北海道地方環境事務所、財団法人北海道環境財団 2007年3月作成)より転載 詳細はHP「北のCSR」をご参照下さい。

( パートナーシップ事例 / CSR事例 )