協働取組

平成26年度持続可能な地域づくりのための協働取組情報交換会(開催報告)

持続可能な地域づくりを目指すためには多様な主体の参画・連携が必要とされ、「市民参加・協働」を推進する動きが増えています。その一方で、協働が有効な場面や効果が理解されていない、実務上のノウハウなどが不足している、協働の障害となる地域の諸事情があるなど、様々な課題もあります。持続可能な地域づくりにおける課題や各種制度の活用方法の検討、行政区域を超えた連携強化を図ることを目的とした情報交換会を平成26年10月9日に旭川市市民活動交流センターCoCoDeにて開催しました。

開催内容

 

1.話題提供

「市民との協働による持続可能なエネルギーについて」

 まず、北大大学院農学研究院の辻宜行先生から話題提供がありました。「紙おむつリサイクル」を皮切りに、稚内市の「氷冷房(アイスシェルター)」の活用、南富良野町の「しばれ乾燥」、苫前町の風力発電、占冠村の薪ボイラー、インドネシアの小水力等、道内外の再生可能エネルギー活用事例を紹介。一方、富良野市はリサイクル率90%で、上記の事例と比べても遜色のない高水準です。これが実現している背景には、市民の協力や学校教育の推進、行政の啓発活動によって、14種類の分別が徹底されているからとのこと。最後に、地域が自立的にマネジメントを行い、取り組みを持続可能なものにするためには、コストのかかるハイテクではなく、もともと地域にあるローテクを生かすことが重要だというお話をいただきました。


 辻先生のお話を受けて、富良野市総務部市民環境課の関根氏が富良野市における取り組みについてご講演。富良野盆地のエネルギーの自給自足を目標とする「ふらの環境エネルギー事業化検討協議会」の概要や、麓郷地区で民間企業と行政が共同で研究している「手作り小水力発電所」等について紹介がありました。リサイクル分野では、辻先生のお話にあった「衛生用品(紙おむつ)」の固形燃料化に試験的に取り組んでおり、これが実現すればリサイクル率は90%から95%に向上するそうです。そのほか「固形燃料燃焼用ボイラーの開発」等が課題であるということや、太陽光発電やペレットストーブの導入についてもお話がありました。市民との協働では「ふらの市民環境会議」を平成14年に設置しており、ガーデニングやクラフト作成等を組み合わせた講座の開催、施設見学会、ふらの環境展等の活動を行っています。現在、会員は40人ですが、会員の減少・高齢化、実際は行政主導であり、協働でどのように進めていくかが課題となっているとのこと。それ以外の協働では、現在、富良野市を含む131村で道総研と研究協力に関する協定を提携しており、5カ年の取り組みを行っています。



「観光利用と保全の両立を目指した自治体とNPOの協働事例」

NPO法人ねおす「大雪山自然学校」荒井一洋
NPO
法人ねおすの荒井さんからは東川町等と協働で取り組んでいる『旭岳自然保護監視員の挑戦』についての情報提供。委託業務の中でより効率的に取り組めるように努めています。また、いままでの利用者(市民)対管理者(行政)という関係を、利用者(市民)イコール管理者(市民及び行政)となるように様々な工夫を行っています。例えば、大雪山訪問者に全体的にルールを伝えることで、利用者が相互にチェックする雰囲気をつくることなどもそのひとつです。そうした取り組みの結果、利用者自身が自主的に整備、清掃することも進んでいます。将来的には水を利用する農家やブランドイメージを利用している事業者も「利用者」として巻き込みたいという思いがあります。取り組みを進めていくにあたっては、「行政コストを下げ、外貨を稼ぎ、地域に還元する」「効果的にサービスを提供し、地域価値を高める(管理運営)」ことが重要であり、そのために事務インフラの整備(事務コストの削減)等が重要です。役割分担としては、行政が制度の専門家、翻訳家の役割を果たしてほしいと考えており、行政が持つ情報インフラ、危機管理インフラを民間含め、どのように活用するかが重要だとしています。

 

2. 環境省の施策・協働事例紹介

「平成27年度 環境省重点施策」及び「地域活性化に向けた協働取組の加速化事業」について

環境省北海道地方環境事務所環境対策課 向田健太郎

平成27年度 環境省重点施策の中から再生可能エネルギーや協働に係る動向について説明がありました。また平成24年度に施行された「環境教育等促進法」においても協働が定義され、協定書の締結や体験の機会の場の認定制度など、環境保全に向けた協働取組の推進のための制度が盛り込まれていること、同法に基づく協働取組推進の拠点(環境パートナーシップオフィス)の設置、地域活性化に向けた協働取組の加速化事業を実施していること、次回の公募予定などについての説明がありました。

 その後、環境省 北海道環境パートナーシップオフィスより昨年度の地域活性化に向けた協働取組推進事業の事例紹介を行いました。

 3.ワークショップ~各自の取組と課題についての情報交換

 グループに分かれて以下の項目について話し合いました。

・協働のメリット・デメリットについて

・協働を進めるための解決策、支援策について

 協働のメリットとしては、事業のパフォーマンス向上に係るもの(専門知識が得られる、正当性が確保できるなど)や、担当者や地域の意識に関わるもの(連帯感・一体感が得られる)などが挙げられました。デメリット(課題)としては意思決定が遅い、プロジェクトマネジメントに係るスキル、コストが不足しているなどが挙げられました。協働を進めるための支援策、解決策については協働の仕組みづくり(役割分担の明確化、協働の評価手法)や人づくり(意識改革、リーダーやコーディネーター養成)などが挙げられました。また協働しやすい課題として、重要であるが緊急ではないもの(「外来種の駆除」「健康維持」「環境保全」「災害対応」等)があるのはないかとの意見が出されました。

ワークショップまとめ>PDFファイル

 

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