【開催報告】再エネ・くらし・自然が共生する未来をつくるには?/シリーズ「25年後の北海道をつくる わたしたちの公正な移行」Part1
EPO北海道では、昨年度までも気候変動対策と自然再興の調和をテーマにオンライン勉強会を開催してきましたが、2025年度は、25年後にせまる2050年へ向けた公正な移行という観点を加えたシリーズ企画を実施します。
1回目は「再エネ・くらし・自然が共生する未来をつくるには?」と題し、釧路町、北海学園開発研究所との共催で釧路町の会場から配信を行いました。
近年再生可能エネルギー導入の加速にともない、景観や自然環境への影響が顕在化し、地域の人々と発電事業者間のトラブルが各地で生じています。気候変動の影響の受けやすさと対策の負担について不公平を生まずに社会を変革していく「公正な移行」が求められる今、脱炭素のためのエネルギー転換と地域の自然環境、そして個々人の生活の質のトレードオフをいかに小さく抑えるかが課題です。
今回はこの課題に向き合うヒントとして、再生可能エネルギー事業や自然保護に関する専門家らによる議論を経て2025年3月に発表された「地域にとって望ましい再生可能エネルギー・チェックリスト」を取り上げ、このチェックリストの取りまとめに関わったNPO法人環境エネルギー政策研究所 山下紀明さんに解説いただきました。
山下さんからはこのチェックリストの考え方や、どのように活用されることを期待しているか、そして地域づくりや自然共生に繋がる再生可能エネルギー事業の国内外の事例について、写真などを交えてお話いただきました。
後半は北海学園大学 上園教授も交えて、研究されているドイツ等での自然共生型再生可能エネルギー事業を支える仕組みについて補足いただきながら、参加者からの質問・コメントを取り上げて意見交換の時間としました。
この企画の配信のあと、釧路町の会場ではチェックリストに書き加えたい項目を考えるワークショップが町主催で実施され、EPO北海道スタッフも参加させていただきました。業種や立場のちがうメンバーで話し合い、地域で将来世代に引き継ぎたい大切な風景や、災害など備えたいリスクなど、グループごとに異なる意見が出されていました。地域の未来を考えるツールとして活用の可能性を体感することができました。
開催概要
[日時] 2025年6月26日(木)14:00~15:30 / オンライン配信(Zoom)
[参加者] 再生可能エネルギー、自然環境・景観保全、地域づくり等に関心のある方 66名
[内容]
– 趣旨説明
– 話題提供 資料(PDF 17MB)
地域にとって望ましい再生可能エネルギー・チェックリスト 太陽光・陸上風力 ver.1.0 | ISEP 環境エネルギー政策研究所
講師:NPO法人環境エネルギー政策研究所 主任研究員 山下 紀明さん
環境エネルギー政策研究所(ISEP)主任研究員、名古屋大学大学院環境学研究科博士課程(知の共創プログラム特別コース)。1980年大阪生まれ。京都大学大学院地球環境学舎卒(地球環境学修士)。地域エネルギー政策に従事。近著に「生物多様性に貢献する自然共生型太陽光・風力──「環境vs 環境」 のトレードオフを越える」丸山康司・本巣芽美編『<よい再エネ>を拡大する : 地域に資するための社会的仕組み』法政大学出版局.
– 質疑応答・意見交換
登壇:山下 紀明さん、北海学園大学 経済学部教授 上園 昌武さん
[共催] 環境省北海道環境パートナーシップオフィス(EPO北海道)、釧路町、北海学園大学開発研究所
アーカイブ動画
チェックリストはこちらからダウンロードできます。
➤地域にとって望ましい再生可能エネルギー・チェックリスト 太陽光・陸上風力 ver.1.0 | ISEP 環境エネルギー政策研究所