「ECOちとせ」をはじめとする独自の取組み~北の空の玄関口千歳市から~
新千歳空港のある千歳市(人口約93,000人)で行われている環境意識の向上に向けた独自の取組みをご紹介します。
最初にご紹介するのは、環境に配慮した取組みを行っている事業所を認定する「ECOちとせ」。 事業者による環境配慮行動の促進を図り、環境への負荷の少ない社会の構築に役立てることを目的に実施している、環境マネジメントシステム認定制度です。この制度は、現市長の公約などもあり、平成19年度に開始。現在は、建設業関係を中心に31の事業者が認定事業所として、環境配慮行動に取り組んでいます。
「ECOちとせ」は、市内の中小企業向けに、事業者が取り組みやすいように、規格をできるだけ簡素化し、ISO14001な ど、他の環境マネジメントシステムと比較して事業者の事務作業や費用負担の軽減ができるシステムとなっています。また、単なる登録制度ではなく、 ISO14001に倣ってPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルに基づき、事業者が各自で電力使用量や灯油使用量の削減などの目 標などを設定し、これらの達成に向けて、取組みを実施し、評価・見直をして改善に結び付けていく特徴があります。
「ECOちとせ」への認定は、認定を受けようとする事業者が申請をした後、3ヶ月程度の取組みを行い、自己評価した上で市に取組状況を報告し、審査を経て行われます。審査は、(※)「ISO14001自己適合宣言」を行っている同市の職員約40名が行っていることも特筆すべき事項です。
認定された事業者には認定証とステッカーが交付され、事業者名が市のホームページで紹介されます。その多くの事業所では、企業のイメージアップや経費削減、さらに大幅なCO2削減といった効果が出ています。(ECOちとせ認定制度における調査報告書より)
(※)「EPO北海道」と「北のCSR」にある以下のページも合わせてご覧ください。
○千歳市環境基本計画
http://epohok.jp/old/modules/pukiwiki/60.html
○環境マネジメントシステムとは http://epohok.jp/old/hcsr/modules/ems/index.php?content_id=1
この制度のねらいは、「どれだけCO2削減がされたかという結果ばかりではなく、そのプロセスにも重きを置くこと」(環境課 三戸部課長)とのことで、環境に配慮して事業活動を行おうとする事業者の裾野が広がることが期待されています。
この認定制度も開始当初は各種会合で同制度をPRしてもなかなか参加事業所を集められなかったとのことですが、同業他社が認定を受けたことなどを機に、参加事業者数が徐々に増えていったそうです。
今後の課題としては、「将来、参加事業者の取組みが進み、定着することで、CO2削減と経費削減効果が頭打ちになることが考えられ、そのときには制度の見 直しが必要」(同課ISO管理係 小野寺係長)になるとのことです。一方で、認定事業所の競争入札時における加点なども検討されるなど、今後のさらなる充 実が期待されています。
※ ホームページに公開していない資料として、以下の資料を頂戴しましたので、より深くお知りになりたい方はご覧ください。
「千歳版環境マネジメントシステム認定制度実施要綱(PDF)」
「千歳版環境マネジメントシステム認定制度事務取扱手順書(PDF)」
次にご紹介するのは「エコ・カレッジ」。これは、市内の小学4年生~中学生を対象に、環境について自主的により深く学んでもらうための制度で、「こどもエコクラブ」の千歳市版といったイメージです。このエコ・カレッジは、ジュニアからドクターまで4段階のレベルを設定し、子どもたちが水生生物の観察や自由研究の報告など、その学習の度合いによってレベルアップし、ドクターに達すると認定証書が授与されるというものです。
この制度は、2008年に行われた「ジュニアエイトサミット 2008千歳支笏湖」の開催などを契機に創設されましたが、「まずは、地域のことに興味を持ってもらい、大人になった時、環境に関してこんなことをやって いたなぁとふりかえってもらえれば」(同課環境計画係 林係長)というねらいも込められています。
その他にも、環境配慮型の住宅設備機器導入などを促すための「千歳市エコチャレンジ補助制度」、市民に対する地球温暖化防止に向けた取組みとして、啓発だけに留まらず登録制度にもなっている「チャレンジ25キャンペーン」を実施しており、千歳市民の環境に関するさらなる意識の向上が期待されています。
(取材協力:千歳市市民環境部環境課)