【報告】熊本地震でなにが起こっているのか ~ 中間支援の立場から見えたこと~(札幌 6/21)
6月21日(火)18:00より、北海道立道民活動センターかでる2.7「1050会議室」にて、報告及び懇談会「熊本地震でなにが起こっているのか ~中間支援の立場から見えたこと~」を開催、37人の方にご参加いただきました(主催:環境省北海道環境パートナーシップオフィス、共催:北道立市民活動促進センター(指定管理者:公益財団法人北海道地域活動振興協会)、認定NPO法人北海道市民活動ネットワークきたネット)。
この企画は大規模災害が発生したときに、地域でどのようなことが起こり、中間支援はどのように地域の自発的な活動に対応して支援ができるのか、地震から2カ月が経った熊本の事例から学び、札幌圏での災害対策に生かしていこうという目的のものです。
NPO法人九州環境サポートセンター 理事長の宮原美智子氏( NPO法人くまもと温暖化対策センター 顧問 、日本ファンドレイジング協会 九州チャプター共同代表 )の講演と、元 東日本大震災市民支援ネットワーク・札幌むすびば事務局長の東田秀美氏(北海道立市民活動促進センター相談員)との対談を中心にご紹介します。
☆開催案内はこちら
http://epohok.jp/katsudou/epo_activity_info/intermediate_support/disaster_countermeasure/443
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1.開会挨拶
開会にあたって、九州において宮原さんと親交のあった北海道地方環境事務所の遊佐環境対策課長より、宮原さんのご紹介をいただいた後、宮原さんから「熊本地震でなにが起こっているのか」と題してご講演いただきました。
2.現地からの報告「熊本地震でなにが起こっているのか」
投影されたスライドを見ながら、発災時の緊迫した状況や被害の大きさに真剣に向き合う参加者の皆さん。宮原さんからは特に避難所生活について、避難所の場所の情報が十分に共有されていなかったことや、緊急避難した場所からあらためて指定の避難所に生活を移すことの難しさ、避難所閉鎖に伴って周辺での車中泊を選んだ方々に支援物資が届かない制度の課題など報告をいただきました。
「備えあれば憂いなし」、生命に不可欠な水や衛生に関わる製品などの備蓄の重要性を再認識した宮原さん。コンビニエンスストアが過去の震災体験を生かして仕組みを構築し、いち早く店舗を再開していたことなど、心強いエピソードもうかがいました。
避難所が開設され、支援活動が始まりましたが、地域によって「支援の差」には大きな開きがあり、現在もまだまだ十分に支援の手が入っていない地域もあるとのこと。2カ月経ったいまもなお、テント暮らしという方も、少し前まで食事はおにぎりと水だけという方もいます。例えば、罹災証明がとれるかどうか、応急処置が受けられるかどうかという避難所で受けられる「支援の差」があります。こうした「差」は生活に大きな影響を及ぼし、避難されている方々に不公平感や疎外感をもたらすことさえあるとのことでした。
支援活動とはなにか、という問いに対して、宮原さんは「地域の人たちが最終的に自立することだと学んだ」と言います。支援活動も、最初はボランティアとして展開していましたが、震災後1か月経ったころから、ファンドレイジング(資金調達)を推進、熊本の未来を考えた基金づくりに取り組んでいます。
連携については、「まずは顔が見える関係で」九州各県の団体との広域連携がなされていることや、熊本地震前に活動を開始していた「全国災害支援ネットワーク(JVORD)準備会」による支援などを紹介。市民活動系と福祉系、行政と民間の普段からのつながりが重要であるとの指摘がありました。こうした震災の体験をとおして、どのように仕組みを残していくか、地域で考え、取り組み、全国に発信していければとのお考えでした。
東田さんとは、時間の経過によって変化する支援者層とその対応や、情報共有の難しさなどについて対談。情報共有については、SNSによって各自が情報を得られやすくなった反面、全体を見渡して確かな情報を取捨選択し、紙媒体で高齢者などに伝える仕組みの構築を示唆。
実際に熊本県益城町の災害ボランティアセンターで活動している、NPO法人やまがた絆の架け橋ネットワークの早坂信一さんの報告も交えながら、地域の自立に向けたボランティアコーディネーターの立ち居ふるまい方などにも話題が及びました。
3.意見交換
意見交換では、会場から「いま、北海道の私たちにできることはなにか」「避難訓練はどのように役立ったとお考えか」「地震後、川内原発について市民はどのような反応だったのか」「自立とはどういったことだとお考えか」といった質問がありました。
これに対して宮原さんからは「引き続きボランティアや、熊本の産品を購入するなどの資金的な支援もいただけるとありがたい」「避難訓練は行っていたが、避難所訓練が必要であったと感じている」という回答。そして原発については「心配の声も出ていた。このことも含め、私たち市民一人ひとりがどういう社会を未来の子どもたちに残したいのかを考えて、提案し、社会を変えていくことが必要」だとお考えでした。
自立については「たくさん話してもらって、それを受けとめて、自分を客観視することができるようになる。そこから次の一歩が始まる」「現実にはお金や仕事の問題がまだまだあるが、希望を持って、毎日の中でできることを一つひとつこなしていくしかない」「みんな、失ったものはいっぱいあるが、人のつながりができたことは大きな財産。人の縁を大切にして、地球に生きていることを意識しつつ、感謝しながら生きていきたい」という思いをお話しいただきました。
最後に共催団体である、認定NPO法人北海道市民環境ネットワークきたネットの常務理事である宮本尚さんと、公益財団法人北海道環境財団より、宮原さんや会場の参加者の皆さんへの感謝と、今後北海道において災害対策になんらかの形で取り組んでいく意思をお伝えし、閉会となりました。
災害が収束しているわけではない中、大変な思いを抱えながら被災者の立場から、また中間支援の立場からお話をくださった宮原さんに感謝いたします。誠にありがとうございました。
以 上