【参加報告】オープンセミナー「NPOの事業評価とは」
2月20日(火)@市民活動プラザ星園にて、オープンセミナー「NPOの事業評価とは」(主催:NPO法人NPO推進北海道会議)についてご講演、パネルディスカッションが行われました。簡単ではございますがその内容をご報告します。
概要
[日時]2018年2月20日(火)18:30~20:30
[場所]市民活動プラザ星園(札幌市)
[内容]講演「NPOと事業評価」
講師:認定NPO法人日本NPOセンター 基盤開発チーム事業評価担当 清水みゆき氏
パネルディスカッション
パネリスト:清水みゆき氏(日本NPOセンター)
河西邦人氏(札幌学院大学経営学部教授)、
田口晃氏(NPO推進北海道会議代表理事)、
山﨑貴志氏(NPO法人自立支援事業所ベトサダ 代表理事)、
高橋慎氏(NPO法人雨煙別学校)
コーディネーター:佐藤隆氏(NPO推進北海道会議理事・事務局長)
[主催]NPO法人NPO推進北海道会議
2017年1月、NPOによる事業評価の現状を調べるために日本NPOセンターはアンケートを実施(※)しています。その結果から、NPO法人は事業評価を「活動の魅力を伝えるため、職員などが同じ方向を向くため、改善するため」という理由から有用と認識していることがわかりました。一方で、事業評価を実施したことがないNPOは「76.8%」にのぼります。実施ができない理由に時間、労力、スキル、資金の不足があがっています。
(※)みんなはどうしてる?事業評価をめぐる意識調査(日本NPOセンターウェブサイト)
事業評価は、定量事業の萎縮、現場の疲弊などを招くイメージをNPO等は持っていますが、職員のやりがい向上、地域や社会がNPOを認める、資金の出し手との共通認識を作ることができるなどのメリットが期待されています。
そもそも「評価」とは何でしょうか。定義として「評価=事実特定(定量、定性データなどから何が起きているか特定する)+価値判断(誰が評価するのか。内部評価、外部評価、参加型評価など)」と一般的には言われています。
評価は事後に行うもののイメージがありますが、計画段階から評価の視点を取り入れて事後に何をどう達成したのか測るものです。評価の目的に、事業の改善、組織学習、資金提供者への説明責任、知識創造、社会変革などがあります。これらは事業計画段階からどのような評価が必要なのか踏まえた検討が大切です。
評価では、各事業で何を行っているのか、その中で何が足りないのか、それを特定するデータの厳密性が求められます。評価実施者は、客観的な視点を持ちつつ、得られたデータをもとに話し合うプロセスが大切になるとお話いただきました。
NPOの評価はみんなで話し合い、合意しながら進める参加型と相性がいいといわれていますが、評価の手法は下記のとおり多様であり、自らが達成したい目的に合わせて選択する必要があります。
・総括評価(一連の流れを振り返るもの)
・形成評価(活動の途中で評価をしながら事業を作っていく)
・発展的評価(型にはまらない評価。プロセスの中でデータを取っていく。)
・第三者評価(客観性)
・自己評価(学びの改善)etc.
日本NPOセンターでは、事業評価に関する研修会等を実施されています。NPOセンターの職員を対象とした「NPO事業評価コーディネーター事業」(事業概要はこちら)、「伴走評価エキスパート育成プログラム(事業概要はこちら)等があります。ここでは「伴走評価エキスパート育成プログラム」を受講した北海道NPOセンターのスタッフが、実際に「NPO法人雨煙別学校」「NPO法人自立支援事業所ベトサダ」における事業評価の実践について紹介いただきました。
後半のパネルディスカッションでは、「道内に広く普及可能な「事業評価」のあり方は?」をテーマに討論。「評価は手間暇がかかる、本業がおろそかになる可能性があるのでは?」という疑問に対して「NPOの活動が、定性的なこと、収益だけではなく、未来のまち、子どもたちの価値創造に重きを置くこと、事業の客観性を持つことができた。一方で自分たちだけでは難しい」、「目に見えない現状を可視化する手段に評価を使いたい」「受益者や関係者のエピソードは人の気持ちを動かす。内部の改革にもつながる。Whyを繰り返してポイントは何だったのか確認とするといい」との声が聞かれた。
発展的評価という新しい評価の方法がアメリカからきたというお話がありました。取り組みの多様化、複雑化にともない、評価も多様になってきていると感じました。その評価方法を使おうと、評価が説明責任の確保や組織基盤の強化につながることに変わりはないと思います。このツールを上手く使えるように、日々勉強していきたいと思います。ありがとうございました。(大崎)