北海道地方ESD活動支援センター

【講演報告】平成29年度 社会教育主事講習「SDGsとESD②」

国立大学法人北海道教育大学が実施された「平成29年度 社会教育主事講習」(7/28~8/14)において、「社会教育特講(18)」として「SDGsとESD②」の講義を溝渕が担当させていただきました。(会場:北海道教育大学札幌校)

この講義に先立って、北海道教育大学の大津和子先生が「SDGsとESD①」において、両者が世界で実現されようとしている背景や過程をご説明。「②」では90分を使って、SDGsとESDの具体的な内容や事例について情報を共有し、受講された皆さん 22人が、それぞれ自分なりの解釈で、活用方策を含めて情報を持ち帰ることができるよう構成を考えました。

講義開始時に受講生の皆さんには3、4人のグループになっていただき、「SDGsやESDについて知りたいこと」について対話をお願いいたしました。率直な意見交換が行われ、
 ・ESDは、国はどのように進めようとしているのか(環境省と文部科学省の関わりは?)
 ・現場で、SDGsやESDをどのように進めたらいいのか
といって疑問をいただいたので、これを後の情報提供に組み込んでいきました。

SDGsについては、「あなたの活動はどのターゲットと関わりがありそうか」をグループで話し合い、共有していただくと、
 ・自分の活動も、17のターゲットのどこかには関わっている
  (17の領域以外のものは、どうやらなさそう)
 ・しかも1つのターゲットではなく、複数のものに絡んでいそう
 ・特に受講生メンバーは「教育」に関係している
といった点が浮かび上がってきました。そこでこれを踏まえて、企業/自治体/市民活動団体がどのようにSDGsを用いた活動をしているかご紹介。その取り組み事例から、ツールとしてのSDGsには、
 ・おおよそすべての活動に「ラベル」をつけて、平面的に並べて「可視化する」機能がある
 ・可視化により、課題の関連性が認識しやすくなり、問題解決の打ち手の検討につながる
という働きがありそうだ、ということを皆さんと共有しました。

また、ESDについては、
 ・ユネスコが世界の平和を構築するために、観点を地球環境問題まで広げてきたこと
 ・文科省においては、学習指導要領の中にESDを構成する要素がそれぞれ埋め込まれていること
などをご説明。加えて「いままでも『持続可能な社会づくり』が考えられてこなかったわけではないはず。しかし現状として、人間の学びや成長が時間的、空間的に分断されているのではないか」と問題提起し、「ESDはそれを統合しようとする働きなのではないか」という考えをお伝えさせていただいました。

最後に具体的な事例として、EPO北海道が関わらせていただいてきた、石狩浜海浜植物保護センター(石狩市)や三笠ジオパーク(三笠市)等のESDに係る取り組みをご紹介。また、9月に開所される「北海道地方ESD活動支援センター」についても情報をお伝えし、今後の連携協働をご依頼させていただきました。それぞれの地域にあった取り組みで、人材育成を足がかりに、地蔵可能な社会づくりを進めていければと期待します。