ESDの推進

当別からはじまる、ESDプロジェクト

当別町は、環境省国連ESD促進事業の平成18年度モデル地域に採択されています。詳細はこちらのHPをご覧ください→http://www.env.go.jp/policy/edu/esd/index.html

冬水田んぼの生きもの調査

 
 石狩当別に事務所を置くNPO法人当別エコロジカルコミュニティー(TEC)が中心となり、当別町というフィールドを活かした、ESD当別アクションプラン作り(環境省ESD促進モデル事業)を行っています。

 2002年3月に活動がスタートしたTECは、その名前にある「エコロジカルコミュニティー」を、?ヾ超?面で永続可能であり、?⊆ 匆馘?に公正で、??自己実現の機会が保証され精神的に豊かな生活を送ることが出来るコミュニティーと定義し、その実現に向けた教育活動の推進を私たちの ミッションとしています。活動の範囲は、事務所を当別町に置いていますが限定はしていません。言い換えれば、ESDをミッションとしてスタートしたNPO法人がTECだということもできると考えています。

 北海道には「環境の村」という環境教育の拠点作りの構想があり、5年前より事業が進められています。この「環境の村」の構想は、 ESDを市民サイドで進めているESD-J(NPO法人持続可能な開発のための教育の10年推進会議)の代表でもある阿部治氏(立教大学教授)が座長を務めて作成したもので、まさにそのコンセプトはESDそのものだということができます。基本構想には5つの柱があります。1)ライフスタイルの見直し。2) 自然と人との共生のあり方を学ぶ。3)世代間の交流や、国際的交流。4)環境学習の指導者養成。5)「環境の村」が実践する持続可能な社会の実現に向けた 取り組みの発信。実際に、持続可能な社会の実現のための教育を体験中心に行っていこうという施設です。
 
先住民のクチャ作り TECは、この「環境の村」のフィールドとなる当別町に事務所を置いていることもあり、「環境の村」でのESDの活動が当別町全体に広がり、一つの町が持続可能 な社会に向かっていくための教育活動に力を注いでいます。具体的な活動としては、子ども向けのキャンプやセミナー、指導者養成、フォーラムといった事業を行い、環境教育の手法や考え方を実践しながら培っているところです。また、2004年と2005年には環境教育をテーマにした学校教育とNPO法人との連携のあり方を検討する文部科学省の研究事業に参加し、年間50時間ほどの授業を小学校・中学校・高校で行ってきました。この縁で、今でも毎年町内の学校で 授業をさせていただいております。2005年には、環境省の事業として「環境学習をテーマとしたエコミュージアム構想」を実施し、当別町というフィールドのポテンシャルを見極めることが出来ました。

 

ヒマワリからとった油このような5年の蓄積の上に、今年取り組んでいるESD当別プロジェクトがあります。まさに、この活動に取り組むことは、私たちTECにとってのミッションでもあるのです。また、昨年より「冬水田んぼ」をキーワードとした農薬に頼らない農業や牧畜のあり方について、地元の農家さんはもちろん、企業、行政の方々と一緒に 取り組みを始めました。様々な役割を持つ主体が、一つの目標を共有しながら、互いに学び会う場がこの「冬水田んぼ」での取り組みであり、私たちTECに とっての環境教育ワーキングネットでもあります。ESD当別プロジェクトはこの延長でもありますが、単なる延長ではなく、オルタナティブな教育や社会づく りを目指しています。
 
 私たちは、単に教育を学校教育や社会教育という枠組みの中で考えるのではなく、生活の全ての場面に学びの場があると考えています。そして、そ のキーワードは「リアリティー」だと考えています。学校では盛んに体験活動が行われていますが、体験そのものがリアリティーのないところで行われているも のがほとんどです。それを、もう一度リアリティーのある場面、生活や地域(行政区ではない地域)に学びの場を作っていこうと考えています。そこでは、教える人と教えられる人が一方通行ではなく、ある時は教える人、ある時は教えられる人になるのです。それは、大人も子どもも関係ありません。
学びというのは変わること、変化を起こすということでもあると考えます。しかし、変わるということは、力の必要なことです。一人ではなかなか変 われません。そこで、仲間が必要なのです。互いに分かり合った、学びのコミュニティーが力になってくれます。アーネスト・カレンバックが書いた「エコトピア国」のように。
私たちはもう一度学ぶということを考え直さないといけないのかもしれません。新しい学び方のパラダイムを変えること。持続可能な社会をキーワードとした学び方の実践がESDの目的ではないかと考えています。何かを学ぶのではなく、学び方を学ぶ。ここからESDが始まるように思います。 (執筆:山本幹彦)