ESDの推進

【ESD/ユースの取り組み(3)】国内ユースの声を集約し発信するプラットフォームJYPS

JYPS G7ユースサミット

 2015年宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」に参加した若者(ユース)によって発足されたユースのプラットフォーム「Japan Youth Platform for Sustainability(JYPS)」。JYPSの取り組みにについて政策局の竹田 響さんにインタビューさせていただきました。

(インタビュー日:平成28年10月11日(火))

 

Japan Youth Platform for Sustainabilityとは?

 第3回国連防災世界会議では、ユースが防災についてディスカッションする場が開催されました。会議終了後、そこに関わったメンバーから「国連のメジャーグループ『Children & Youth』の日本版をつくろう」という提案があり、その年の9月にJYPSは発足しました。

JYPSは、

ビジョン:「JYPSは、社会のすべて構成員が、公平に自らの意見を政策に反映させることを通じて、衡平で公正な社会が実現された世界を目指します。」

ミッション:「JYPSは若者の意見を集約・調整する自治民主的な仕組みの設立、管理、そして改善をすることを通じて、若者が政府や国際的な枠組みに対しその意見を反映させることを可能にします。」

としています。

 ユースの声を集約、社会へアドボカシーするプラットフォームであり、ユースが社会へ関心を持ってもらうために勉強会も開催しています。

 運営方法は、理事2名、運営委員7名、メーリングリスト登録者約300名。メンバーによる会議はオンライン上です。また、事業ごとにワーキンググループをつくり、参加したい方へメーリングリストで呼びかけ、応募された方を中心に企画・運営しています。

 

具体的な取り組みはどのようなことがありますか。

JYPS-国連HLPF-SDGsフォローアップ

 国連メジャーグループ「Children & Youth」に関わるメンバーがいるため、グローバルユースとしても信頼され、国連のプロセスを始め国際的にも参画しています。2013年アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development:TICAD)に竹田さんをはじめ、多くのユースが参画したことから始まっています。待つだけではなく、各種機関にアプローチを行い様々なところに関われるようにしてます。また、分野を横断していくことを意識しています。

 JYPSは、持続的開発に関連する研究・調査事業、協力団体、機関との連携、政策提言事業、持続的社会の開発理解促進事業、NGOネットワークへの参加に関わる活動などを行っています。

 国際的な活動として、今までにG7サミット、G20サミット、ハイレベル政治フォーラム、アジア太平洋経済協力会議、TICAD、開発資金会議、ハビタットIII、防災会議に、参画・政策提言・イベント開催を行ってきました。

 国内での活動として、SDGs市民社会ネットワーク事業、市民ネットワークfor TICAD、アドボカシー(政策提言)トレーニング事業、アジア開発銀行年次総会事業、外務省・NGO定期協議会、ODA政策協議会、財務省・NGO定期協議会など他にもありますが、政策提言への参画をとおして、ユースの声を発信してきました。

 これらのことはJYPSだけでは関係機関に対応してもらえないこともありますので、市民社会の皆さんと協働させていただくことも多いです。

 よくユースはものを知らないといわれますが、対等な関係でユースの意見を出すことが必要です。成果の1つにSDGs目標10「不平等をなくそう」は、ユースがロビーイングをして盛り込まれました。他にもG7サミットにおいてユースの提言文が宣言文に盛り込まれることもありました。活動の成果が文章として残ることが大切と考えています。

 

今後はどのようなことに取り組みたいですか。

 ユースの代表制を担保するためにユースの参画を増やすこと、アドボカシーの機会を広げていくためにJYPSを継続していくことです。JYPSのユースの定義は、国の基準に合わせて30歳以下にしていますが、過ぎても問題はありません。ユースの提言は足りていないと感じます。世界の方が活発です。関心がない方を巻き込むことは難しいですが、ここに参加することで、自分がどのような社会を作りたいか考えるきっかけになり、社会づくりの一員であることを実感する場にもなると思います。

 

竹田響さんプロフィール

ヒアリングにご協力いただいた竹田さん

 中央大学総合政策学部国際政策文化学科。対立構造があった時に人と人がどう向き合うのかに関心を持つ。
 日朝の架け橋として精力的に活動されており、北朝鮮、韓国、日本の子どもたちが絵で交流をする「南北コリアと日本のともだち展」事業に2014年から携わる。物事に関心を持たないと人は進むことはできない、マイノリティに関する問題はマジョリティもしっかりと声を上げていく必要があると考え、社会の変革をどうしていくべきか、違いを認識しながら乗り越えていくための対話の場づくりをしていく予定。

 

 幅広い分野でユースの声を発信していくプラットフォームJYPS。社会的に弱い立場となっているユースがステークホルダーの1つとして徐々に存在感を増していくとお話を伺いながら感じました。貴重なお話をいただいた竹田さんありがとうございました。(大崎)