ESDの推進

【参加報告】第33回開発教育全国研究集会 in 北海道 「市民性」を育む開発教育―尊重と共生の社会へ―

 平成27年8月8日(土)~9日(日)北海道大学において、NPO法人開発教育協会が主催する開発教育について考えるための全国集会が開催されました。開発教育全国研究集会(全研)は、開発教育の実践・研究を広め、深めるために1983年より毎年開催され、33回目となる今回北海道で初開催となりました。
EPO北海道はポスターセッションにてESDの取組、分科会にてMDGsをご紹介する機会をいただけました。
当日の様子を簡単ではございますが、ご報告します。

第33回開発教育全国研究集会 in 北海道
 

■2日目第5分科会 ユースの力を社会に発信~世界の現状や課題の解決に、「私たちができること」を考える~

 次世代への持続可能な社会の構築向けた取り組みとして、若者(高校生・大学生世代)が、世界を取り巻く様々な課題解決について考える機会となることを目的とした分科会です。
参加者15名と一緒に「世界の解決すべき課題は何か」をテーマに、ワールドカフェ形式でディスカッションを行い、参加者が共通でもつ課題を洗い出しました。
その後、EPO北海道の大崎よりMDGs(ミレニアム開発目標)の概要についてお話をさせていただきました。
午後からは、午前中にワールドカフェで出た4つの課題に対してグループにわかれて「自分たちは何ができるのか」という視点からディスカッションをしていただきました。

MDGsとは?

・2001年に国連から発表された世界から貧困をなくすための国際目標
・全国連参加国並びに世界銀行などの国際機関も合意
・きっかけは2000年の国連ミレニアムサミットにおけるミレニアム宣言
・MDGsは、宣言の7つのテーマから「貧困の削減」を具体化し、それ以前に国際社会で議論されてきた世界の課題解決に向けた会議の結果を統合したもの
・これによって世界のリーダーの会議で「貧困」が持ち出されるようになり、先進国からはODA(政府開発援助)などの形で資金提供が行われた
・2015年までに8つの目標「貧困・飢餓」「初等教育の就学率」「子どもの死亡率改善」「妊産婦の健康改善」「ジェンダーの平等」「三大感染症の拡大防止」「環境や衛生の保全」「世界を平等に」を掲げ、21のターゲットと、それぞれの達成度を測るために60の指標が設定された
・結果は過去最高の成功であったといわれているが、課題も多い
・2015年9月には国連からポストMDGsが発表される予定
・SDGs(持続可能な開発目標)をベースにMDGsで浮き彫りになった課題解決に向けた内容となる

【参考】「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」 の概要(日本語プレゼンテーション資料)

【参考】JICAミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた日本の取組
 

■課題別テーマに対して「自分たちは何ができるのか」についてディスカッション

テーマ:「教育格差」

日本では直接的には教育格差を感じないが、収入が低い家庭では偏差値の低い学校へ、都市と地方の格差、給食費未納問題などがある
途上国の教育制度がなかったところに教育をポンっと入れるっていうのはどうなのか?
教育ができないということは人としては良くないけど、全ての人に教育が必要?
教育のメリット:収入、騙されない、民主主義の根幹
教育のデメリット:社会やセイフティネットが壊れつつある
この問題に取り組むためには、全ての人が問題に関心を持つこと、学校現場などで開発教育の教材活用、意見発信場の増加が必要ではないか

テーマ:「どうすれば人々は関心をもち、行動するか」

行動の対象は、社会問題。最終的な目標は、政府の政策、人々の行動変化
過去の成功体験、社会変革が頭に入っていると、行動に起こしやすいのではないか
人間の顔が見えるような問題が大事
周りの身近な人でもそういう問題に陥るなど自分とつなげることが必要
たこ焼き効果(学園祭で、好きでもないたこ焼きを友達が売っているから買う)、芸能人を使ってイベントをするなどを通して課題と自分とのつながりを見せる
関心を持っていない人が関心を持つことで力を感じる

テーマ:「人身売買」

人身売買は、途上国で起こっている児童労働だけではなくて、日本の売春なども含まれる。
現状を知らない、偏った情報が多く、身近に感じていないことが問題であるので、伝えることが大切
伝えられた側が行動できることは限られているが、以下のことが可能か
1) 人身問題に取り組んでいるNGO等でボランティアをすること。例えばスタディ・ツアーに参加し、現状を知り、帰国後に伝える。7月30日は人身取引反対デー(期間限定の募金活動をする)
2)ユースフェスタ=日本からはまだ参加していない。学生にも人身取引問題について伝わっていない
3)大学などでサークル活動として取り組む

テーマ:「フェアトレード」

発展途上国の女性の地位向上のためには、経済的自立が必要
フェアトレード(公正な商取引)が、「私たちができること」のになりうる
学生団体によるフェアトレードの出展、周りはそれの機会の提供を行う
現地のことを知り得た日本の女性が、世界の女性の地位向上を呼び掛ける行動をおこす事を期待
そして、彼女らが、次代に問題意識を継承してゆく事を期待

第5分科会のキーワードは以下のとおりとなりました
「肉食国際協力」・つながり、話す場、行動が大切

 全研のテーマ「市民性」、みなさんはどう思いますか?
私は、物事に興味関心を持ち「なぜ?」の気持ちを大切しながら、仲間とともに課題の解決に向けて行動することだと思います。家のカビ問題から経済格差まで課題のあり方は様々ですが、分科会のディスカッションでもでたとおり、仲間と一緒に課題を解決したという成功体験を積み重ねることで、次の課題に取り組む原動力になると思います。
常に「なぜ?」「地域の課題は?」を意識し、地域の課題解決に向けてみなさんと一緒に考えて参ります。(大崎)