EPO活動情報

【参加報告】平成27年度白書を読む会

 平成27年7月14日(火)札幌エルプラザにおいて、環境省が環境分野における現状と課題を報告する白書について、編集担当者による解説と参加者の皆さんとの質疑応答・意見交換が行われました。EPO北海道は、後半の進行を務め、参加された29名の皆さんと一緒に環境課題について理解を深めました。
当日の様子をご報告します。

1.環境白書とは

白書とは、政府の各省庁が担当分野の現状や対策、展望、施策などをお知ら

せするための報告書です。環境白書では、環境、生物多様性、循環型社会の3つの切り口から報告されています。
当初は、1969年(昭和44年)に「公害白書」という名称で作成されましたが、1972年(昭和47年)に「環境白書」となり、時代の変化に応じて、2001年(平成13年)に「循環型社会白書」が、2009年(平成21年)に「生物多様性白書」が加わり、「環境白書」「生物多様性白書」「循環型社会白書」3つの分野を1つにまとめて公表し、現状に至っています。

また、環境省では、白書をより多くの方に親しんでいただくために白書のポイントを絞った「図で見る環境白書」を発行しています。以下のURLから閲覧が

できます。

【環境省】平成27年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/

平成27年度版のテーマは「環境とともに創る地域社会・地域経済」です。東日本大震災の被災地における復興に向けた取組や環境問題への取組が地域経済や地域社会の課題解決につながるとの観点から、環境対策による地域経済活性化や自然資源等を生かした地域づくり等について紹介しています。

2.環境白書を読む会

図で見る環境白書や説明スライドを使いながら、「全体構成及び環境白書」「生物多様性白書」「循環型社会白書」についてそれぞれの編集担当者からお話を伺いました。

全体構成及び環境白書の概要説明
環境省総合環境政策局環境計画課企画調査室 課長補佐 藤

田道夫氏

・地域コミュニティの衰退や化石燃料費の増加など経済・社会的課題が山積する状況は、環境問題と密接な状態にある。そのため、環境、経済、社会の課題を解決することを意識した持続可能な地域の姿を示し、環境対策が地域経済、社会の問題解決につながることを明らかにするために、平成27年度はテーマを「環境とともに創る地域社会・地域経済」とした。
第1章で日本の課題や現状の報告。第2章では、環境対策からの復旧・復興とのつながり。第3章では、環境対策による地域経済活性化や防災等のへ貢献や地域づくり。第4章では、ESDなど環境に配慮した行動による国民一人ひとりの生活の向上とつながりという構成になっている。

生物多様性白書の概要説明
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
生物多様性保全係長 福塚健史氏

・私たちは、暮らしに欠かせない水や食料、木材、繊維、医薬品をはじめ様々な生物多様性の恵みを受け取っているが、現在4つの危険がある。
① 開発などの人間活動(森林伐採など、人が引き起こす負の要因による影響)
② 自然に対する働きかけの縮小(里地里山の管理不足など、人間の働きかけが縮小撤退することによる影響)
③ 人間が持ち込んだもの(外来種など人間により持ち込まれたものによる影響)
④ 地球環境の変化(気候変動など、地球環境の変化による影響)

・生物多様性の危機を回避するための鍵は、持続可能な地域づくりと、失わ

れつつある自然環境を回復し、森・里・川・海を「つなぐこと」で適切な管理を行うことにより本来の恵みを取り戻し、コストの面などは都市を含む国民全体で負担し「支えること」が重要である。

・生物多様性を守るためには、暮らしの中で生物多様性を実感し、身近なところから生物多様性の保全と持続可能な利用を実践するため、5つのアクション「たべよう」「ふれよう」「つたえよう」「まもろう」「えらぼう」を提案し、これらを行うことを宣言するMY行動宣言を推進します。

【国連生物多様性の10年日本委員会】 MY行動宣言
http://undb.jp/committee/tool/action/

循環型社会白書の概要説明
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課循環型社会推進室 
係員 田邊恭平氏

循環型社会の視点から以下のような取り組みを行っている。
・被災地の復興と持続可能な地域づくり
放射性物質に汚染された廃棄物の処理状況等の報告、震災による廃棄物処理に伴う雇用の拡大事例について
・地域経済・社会的課題の解決に資する持続可能な地域づくり
地域で発生した生ごみの堆肥化、地域で使用するビンの規格を統一しビンの再利用を促進する地域の取り組み、ごみ焼却施設などの廃棄物処理施設にコジェネレーション設備を導入するなど災害時のエネルギー供給施設になる取り組みについて
・循環型社会の形成
3R(リデュース・リユース・リサイクル)の意識は近年低下傾向にある。災害などの非常時に発生した廃棄物の取り扱い、円滑かつ迅速な処理などに対応する体制を整える法を整備や、年間500~800万トンもある食品残さのリデュースおよびリサイクルの推進について

3. 質疑応答及び意見交換会

環境省の3名の方を交えて、参加者の皆さんに4~6人のグループに分かれてもらいました。前半の説明を聞いた上での疑問や意見などを付せんに書き出し、全体で共有しました。

【主な疑問】
・「安定電源はどう考えているのか」などのエネルギー関係
(回答)エネルギーの地域間連携という考え方もあるが、送電線をつくるにもコストがかかりメンテナンスが必要となる。水素発電をするにしても輸送コストや変換ロスが発生する。エネルギーの安定供給は、様々なことを一緒に考えながら技術革新をしていかなければならないと考えている。

・「国立公園の活用やエコツーリズムの活性化への対策はあるのか」
(回答)国立公園の活用は白書の中に細かく記してはいないが、イベントの開催やパークボランティアを通じて地域活性化の担い手育成を行っている。エコツーリズムの活性化には、エコツーリズム大賞として国内の様々な事例を表彰するなどを行っている。

・「小型家電の回収ボックスがあるにも関わらず、なぜ回収率があがらないのか」
(回答)小型家電の回収は平成25年に法律ができてから行っている。ボックスを置く理由は、通常の分別回収ルールを変更しなくていいこと、ボックス自体にPR効果があるためである。しかし、ご指摘の通り小型家電回収のPRが足りないことは課題であり、今年度重点的に取り組んでいる。

 

【主な意見】
・「種の保存に対して少し神経質ではないか」
(回答)種の保存については、絶滅は過去から何回も発生していることであるが、今問題になっているのは、1日にいくつもの生物が絶滅しているという説があるぐらい、絶滅するスピードが速いことである。温暖化や開発などにより絶滅のスピードが自然の絶滅より異常に速いことが解決すべき課題であると環境省は考えている。
・「ペットボトルをリサイクルするために、都市に運搬するとコスト増があるので、ある程度の地域ごとに行うべきではないか」
(回答)ペットボトルのリサイクルについてのご意見にもあったように、エネルギー効率が悪いリサイクルもある。循環型社会の形成だけではなく、低炭素社会を目指す自治体を支援していきたい。

 

 参加者のアンケートからは「昨年よりも身近な事例が盛り込まれており、わかりやすかった」という一方で「各分野の説明時間が十分ではないのでは」という意見をいただきました。質疑応答・意見交換では「日頃考えていたことを話すことができて良かった」「時間が短かった」などの意見をいただきました。

  「図で見る環境白書」はEPO北海道でも配布しております。ご希望の方がいらっしゃいましたら、EPO北海道までご連絡をお願いします。
EPO北海道では、「対話の場」を大切にしながら、皆さんと持続可能な地域づくりを実現していきます。