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【参加報告】平成27年度温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度説明会

 平成27年6月25日(木)会議・研修施設 ACU/アキュにおいて、事業者が適切に温室効果ガス排出量の算定・報告を実施するための、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度説明会」に参加しました。参加者は、この制度に適合する事業者や行政職員等となっておりました。

説明会の概要をご紹介します。

 

【参考】温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 ウェブサイト

 

省エネルギー政策について(経済産業省北海道経済産業局)

日本のエネルギー消費の現状

・1973~2010年で約4割のエネルギー効率を改善(エネルギー供給量/実質GDP)

・2013年度の最終エネルギー消費は、前年に比べ0.9%減少

・部門別でみると、家庭部門(-3.0%)と運輸部門(-3.7%)、産業部門(+0.1%)と業務部門(+1.9%)である

 

各部門について

家庭部門:自家用自動車等の運輸関係を除く家庭消費部門でのエネルギー消費

運輸部門:乗用車やバス等の旅客部門と、陸運や海運、航空貨物等

産業部門:製造業、農林水産業、鉱業、建設業の合計。

業務部門:企業の管理部門等の事務所・ビル、ホテルや百貨店、サービス業等の第三次産業9等におけるエネルギー消費を対象

 

【参考】経済産業省資源エネルギー庁 部門別エネルギー消費の動向

 

エネルギー基本計画(平成26年4月11日閣議決定)

・「徹底した省エネルギー社会とスマートで柔軟な消費活動の実現」

・各部門の効果的な省エネルギーの取り組みを加速する。

・2030年のエネルギー需給構造の見直し

【参考】長期エネルギー需給見通し 骨子(案)

 

・省エネルギー政策はトップランナー制度など各部門に適した形で実施。

【参考】省エネ法の概要・必要な手続き(事業者向け)

【参考】省エネポータルサイト(一般向け)

 

エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の変遷

昭和22年

熱管理法制定

 

石炭・重油に重点

昭和54年

 

省エネ法制定

(石油危機を契機に制定)

 

エネルギー(熱・電気)管理指定工場の指定

住宅・建築物分野、機械器具分野の判断基準制定

昭和58年

省エネ法改正

 

エネルギー管理士試験の導入

平成
5年

省エネ法改正

 

基本方針の策定

定期報告書制度の導入

平成10年

省エネ法改正

(企業の技術革新を促し、自動車と家電のエネルギー効率を改善)

 

エネルギー管理指定工場の拡充

機械器具や自動車へのトップランナー制度の導入

平成14年

省エネ法改正

 

業務部門の定期報告導入

平成16年

省エネ法改正

 

熱・電気一体管理の導入

輸送部門に規制対象拡充

平成20年

省エネ法改正

 

事業者単位規制の導入(フランチャイズ含む)

セクター別ベンチマークの導入

平成25年

省エネ法改正

 

需要家の電力ピーク対策→電気需要平準化(電力の需給バランスを意識した対策をすること)

建築材料等へのトップランナー制度の導入

 

・省エネ法に基づいて、設置しているすべての工場・事業場の年間のエネルギー使用量の合計が1,500kl(原油換算)以上である事業者を「特定事業者」として指定され、エネルギー使用の合理化のためのエネルギー管理が義務づけられる。

・約12,000の事業者が対象。

・定期報告の評価に基づいて、省エネ取組に積極的な事業者を経済産業省ウェブサイトにて公表予定(平成28年度~)

 

各部門における対策

産業部門

・業部門のエネルギー消費は、全体をみると減少傾向がみられるが、2000年までに増加したが、経済活動の鈍化に伴い減少。

・製造業である鉄鋼、化学、セメント、紙パルプが全体のエネルギー消費の8割弱を占めている。

・事業者の省エネ状況を比較できる指標「ベンチマーク制度(2008年)」を導入し、産業部門の6業種10分野を対象にすることで、8割弱占めるエネルギー消費量の削減に取り組む。

 
【参考】エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づく ベンチマーク指標の報告結果について(平成25年度定期報告分)
 

業務部門

・近年減少傾向にある。

・ホテル・旅館、事務所・ビルがエネルギー消費の大半を持っていたが、近年は事務所・ビル、卸・小売業のエネルギー消費が大きくなっている。

 

家庭部門

・横ばいである。

・内訳は動力・照明(37.3%)、給湯(28.0%)、暖房(24.0%)、厨房(8.3%)、冷房(2.3%)

・トップランナー制度によって、エネルギーの消費効率が優秀な機械が生産され、これを家庭で使用することによって、家庭部門における省エネに貢献する。

 

【参考】経済産業省資源エネルギー庁 トップランナー制度

 
 

運輸部門

・2000年頃をピークに減少傾向

・貨物部門が36%、旅客部門が64%(2012年度)

・景気後退などと連動し、それぞれエネルギー消費量も減少。

・省エネ法における荷主規制として、貨物の輸送量が3000万tkg/年度以上である事業者が対象。

 

【参考】経済産業省資源エネルギー庁 荷主規制の概要

 

スマートな省エネへ「エネルギーマネジメントの実現」

・センサー・カメラを用いた情報収集→情報の蓄積・解析→エネルギー消費効率の改善。

・省エネ法と整合性があるエネルギーマネジメントシステムの国際規格ISO50001を2011年6月に発効

エネルギーマネジメント支援ビジネス

・省エネノウハウの不足などにより十分に省エネができていない中小ビルや小規模事業者等を対象に、設備更新のアドバイス、電力使用量の見える化、過去実績との比較などを内容とするESCO(Energy Service Company)等をエネルギー管理支援サービスが浸透しつつある。

【参考】一般社団法人ESCO推進協議会 ESCO事業とは

 

エネルギーマネジメントシステム(EMS・エネマネ)の普及

・住宅・ビル、コミュニティまでエネルギーを無駄なく賢く使うエネルギーマネジメントの考え方や試みが広がりつつある

【参考】一般社団法人環境共創イニシアチブ EMSの意味とロゴマークについて

 

【参考】経済産業省資源エネルギー庁 平成27年度予算

 

【参考】一般財団法人省エネルギーセンター 平成27年度節電・省エネ診断事業(診断の実施等無料)

 
 

温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度

参考】温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 概要資料

【参考】省エネ法・温対法電子報告システム 概要資料
 

・平成17年地球温暖化対策の推進に関する法律の改正により導入

・温室効果ガスを一定量以上排出するものに温室効果ガスの排出量の算定・国への報告を義務付け、国が報告されたデータを集計・公表する制度

・目的

1.排出者自らが排出量を算定することによる自主取組のための基盤確立

2.情報の公表・可視化による国民・事業者全般の自主取組の促進・気運の醸成

対象者は、6.5ガスの排出量合計がCO2換算で、3,000t以上かつ、従業員数が21人以上の事業者

 

温室効果ガスの種類

 

エネルギー起源CO2

 

燃料の燃焼、他者から供給された電気又は熱の使用に伴い排出されるCO2

上記以外の温室効果ガス(6.5ガス)

非エネルギー起源CO2

 

原油生産、セメント製造、廃油由来燃料油の利用などで排出

メタン(CH4)

 

都市ガスの使用、原油生産、家畜の飼養、稲作、排水処理などで排出

一酸化二窒素(N2O)

 

都市ガスの使用、植物性の物の焼却、一般廃棄物の処理などで排出

ハイドロフルオロカーボン類(HFC)

 

クロロジフルオロメタン(HCFC-22)製造、カーエアコンの製造などで排出

パーフルオロカーボン類(PFC)

 

アルミニウムの製造、溶剤等の使用などで排出

六ふっ化硫黄(SH6)

 

マグネシウム合金の鋳造、電気機械器具の製造などで排出

三ふっ化窒素(NF3)

 

液晶加工工程におけるNF3の使用時に排出

 
 

クレジット制度について

名 称

内 容

参考URL

京都メカニズム制度

 

他国での排出削減プロジェクトの実施による排出削減量等をクレジットとして取得し、自国の議定書上の約束達成に用いることができる制度。

環境省京都メカニズム制度

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/

国内クレジット制度

(平成20年10月~平成25年3月)

 

大企業等による資金等の提供を通じて、中小企業等が行った温室効果ガス排出削減量を認証し、大企業の自主行動計画の目標達成等のために活用できる制度。

平成25年度よりJ-VER制度と統合し、J-クレジットへ

経済産業省国内クレジット制度

オフセット・クレジット(J-VER)制度

(平成20年11月~平成25年3月)

 

カーボン・オフセット(自らの排出量を他の場所の削減量(クレジット等)で埋め合わせて相殺すること)の仕組みを活用して、国内で実施されるプロジェクトによる削減・吸収量を、オフセット用クレジット(J-VER)として認証する制度。

平成25年度より国内クレジット制度と統合し、J-クレジットへ

環境省オフセット・クレジット(J-VER)制度

グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度

 

再生可能エネルギー設備から生じた電気・熱そのものと、「環境にやさしいエネルギーである」という環境価値とを切り離して考え、後者を証書化し取引に用いることを可能とする制度。

経済産業省資源エネルギー庁グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/green_energy/green_energy_co2.html

J-クレジット制度

(平成25年4月~)

 

中小企業等の省エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度。

経済産業省J-クレジット制度

http://japancredit.go.jp/index.html

二国間オフセット・クレジット制度(JCM)

 

優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及や緩和活動の実施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献する制度。

現在署名国は14か国

経済産業省二国間クレジット制度

http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/global.html

 

【参考】カーボン・オフセット

 
 

温対法の報告書の記入については、ここでは割愛しておりますが難解です。今年度より電子報告システムの開始という事業者の皆さまの負担軽減されるような仕組みができています。また、省エネの推進がビジネスになっていたことに驚きましたが、多くの方が省エネ技術を求め、省エネが経費の削減にもつながることと思います。

日本のこの取り組みが、制度ができていないような海外の地域に広まり、地球温暖化対策の1つになればと思います。(大崎)